【アナハイム(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)の今季中の投手復帰が絶望的となった。前日2日の登板後に右腕の違和感を訴え、MRI検査の結果、右肘の屈筋回内筋の炎症でグレード1~2と診断された。投球再開まで4~6週間とされ、リハビリ期間を踏まえると最終戦の9月27日までに登板することは極めて厳しくなった。4日(同5日)から始まるマリナーズ3連戦には同行する予定で、状態に問題がなければ今後は打者で出場することとなりそうだ。

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大谷の右腕が再び悲鳴を上げた。前日のアストロズ戦で1回2/3を投げ5四球2失点。直球の最速は97・1マイル(約156キロ)をマークしたが、最後の打者に対しては89・1マイル(約143キロ)まで落ち込んだ。登板後に違和感を訴え、一昨年に手術した右肘内側側副靱帯(じんたい)に近い前腕部分に異常が発覚した。

シーズン終了までの投手復帰は絶望的な状況だ。18年6月6日のロイヤルズ戦に登板後、右肘の内側側副靱帯(じんたい)に損傷が発覚した。同7月19日に投球再開の許可が出てから、キャッチボール→ブルペン投球→実戦形式の投球と段階を経て同9月2日に投手復帰。リハビリに約1カ月半を要した。今回の診断では投球再開まで4~6週間。仮に最短4週間でも、9月1日前後からのリハビリ開始では同27日のシーズン終了には間に合わない。

球団によれば、敵地シアトルで4日から始まるマリナーズ戦には同行する予定。患部の状態をみながらDHでの出場可否を判断する見込みだ。打者に専念すべきとの声もあるが、米スポーツ専門局ESPNによると、「二刀流大谷」の球団の方針は変わっていないという。いずれにしても、二刀流の完全復活は来季以降へ持ち越しとなりそうだ。

<大谷の経過>

◆18年10月1日 右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)を受ける。

◆19年3月8日 術後初のキャッチボール。

◆5月7日 打者で公式戦復帰。

◆6月26日 術後、初ブルペン。

◆9月13日 左膝蓋(しつがい)骨を手術。

◆10月上旬 キャッチボール再開。

◆20年2月23日 キャンプで初のブルペン入り。20球、全て直球で調整。

◆3月13日 新型コロナウイルスの感染拡大でキャンプ中断。

◆5月下旬 打者を相手に実戦想定の投球開始。

◆7月3日 キャンプ再開。ブルペン入りで37球。

◆同7日 紅白戦で打者10人に1安打、7四球の乱調。後日、腰の張りを訴えていたことが明らかに。

◆同13日 紅白戦2度目の登板で打者15人に2安打、5四死球。

◆同19日 3度目の紅白戦。打者22人に5安打、4四球。

◆同26日 18年9月2日アストロズ戦以来693日ぶりに公式戦登板。1死も奪えず打者6人に3安打、3四球、5失点。プロ最短降板。

◆8月2日 2回途中5四球、2失点で降板。右腕に違和感を訴え、MRI検査を受けた。