投げられなかったら、打つしかない! 右腕屈筋回内筋群の損傷(グレード1~2)で今季の登板がなくなったエンゼルス大谷翔平投手(26)が6日(日本時間7日)、敵地でのマリナーズ戦に「4番DH」でスタメン復帰。2回の第1打席で3号ソロを放った。患部の状態を考慮し2試合欠場したが、いきなり結果を出した。

打撃は大丈夫なのか…素朴な疑問に対し、専門家の見立ても問題なし。中軸として、打ちまくって貢献する。

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▽横浜南共済病院・山崎哲也スポーツ整形外科部長

エンゼルス球団は大谷の負傷箇所について屈筋回内筋群の損傷と発表していたが、中でも「浅指(せんし)屈筋」の損傷ではないかとみている。

浅指屈筋はボールを投げる際に主に使う人さし指と中指に、テンション(張力)が加わると負担がかかる。一方、打撃は「深指(しんし)屈筋」が正常なら問題はない。深指屈筋は、人さし指と中指だけでなく薬指や小指の動きにもつながる。バットを握るのは全部の指を使うが、人さし指や中指より、薬指や小指に力を入れるのが一般的だろう。深指屈筋に損傷がなければ、今後も打撃は可能だろう。

少量の内出血は、靱帯(じんたい)の再建手術後にはよくあること。だが、肩や肘の位置なのか、股関節の動きの悪さなのか、何らかの原因はあるはずなので、それを取り除かないと再発する。打撃は影響を与えないケースが多い。打撃は靱帯が切れていても打てる。痛みさえなければ、私の経験上でもOKするし、一般的だ。

打撃でパフォーマンスが出せるということは、重度の筋損傷ではないのだろう。MRIでの筋損傷の分類には1~3度があるが、1度は打撲など、ちょっとした内出血でも認められる。3度は完全な断裂。2度は中間。靱帯と違い、筋肉は赤身の肉のイメージ。血流が豊富なので、すぐに出血する。