ツインズ前田健太投手(32)が節目のメジャー通算50勝目に到達した。

12日(日本時間13日)、ブルワーズ戦に先発し、6回2/3を5安打2失点にまとめ、今季3勝目(0敗)を挙げた。立ち上がりからリズム良く、4回2死までは1本も安打を許さないパーフェクト投球。大量の援護もあり、危なげなく先発の役目を果たした。50勝到達は、日本人メジャーでは8人目となった。

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伝家の宝刀が前田の好調を支えている。広島時代から「スライダーの魔術師」として知られ、指先の感覚や手首の曲げ方で、変化量と球速を自在に操る。曲がり幅を小さく抑え、90マイル(約145キロ)前後の高速で左打者の懐へ差し込むこともあれば、内角低めに鋭く曲げることもある。今季は特に効果的で、この日の試合も左の強打者イエリチやギャメルに対し、内角でカウントを稼いだ。

「今までは左打者に対して、スライダーを打たれることも結構多かった。右と左で曲がりが違ったり、感触が違ったり。今年は右と左で同じような曲がりで投げられているのが、いいところかなと思います」。

対左打者が大きな課題だった。昨年、右打者の被打率1割5分8厘に対し、左は2割4分7厘。今年は右が1割5分6厘で左が1割5分4厘と大幅に改善した。配球の比率でも昨年はフォーシームが最も多く、スライダーは30%前後。今季は約40%と、持ち球の中で最も多く使っており「相手を見ながらでもあるけど、今年に関しては左、右に関係なく投げられている」。

進化したスライダーは左対策の1つかと問われると「それはちょっと教えられないですね」と笑い、はぐらかした。だが、その笑顔が生命線の球種への、確かな手応えを示していた。【MLB担当=斎藤庸裕】