カブスのダルビッシュ有投手(33)が13日(日本時間14日)、本拠地でのブルワーズ戦に先発し、7回1死までノーヒットの快投で今季3勝目(1敗)を挙げた。ソロ本塁打だけの7回1安打1失点の11奪三振。今季最多の104球で、防御率は1・88。カ軍は3連勝で貯金を10まで伸ばした。

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快挙を期待させる好投を見せても、ダルビッシュは平然としていた。許した安打は、7回1死からのソロ本塁打のみ。だが、感覚的には完璧でもなければ、手応え十分でもなかった。「悪くもなかったですが、最高でもない。絶好調というわけではなかったです」。

6回を終わって92球。全国放送したテレビ局の実況だけでなく、MLB公式サイトでもノーヒット継続中のテロップが流れた。だが、当の本人は、ほぼ無関心だった。「もちろん分かってましたけど、完投するわけはないと思ってましたし、別に関係なくね、と思ってました」。初アーチを浴びた直後も動揺することなく、冷静かつ客観的だった。リードはわずかに3点。「次の打者を抑えにいかないと」。記録ではなく、目を向ける先は、チームの勝利だけだった。

くしくも12日には、ドジャース時代の同僚でもあるツインズ前田が、同じブ軍相手に4回途中まで無安打の快投。3勝目を挙げていた。「すごくいい投球をしていたから、ライン(投球成績)より下だったら、前田に何を言われるか分からないんで、ちょっと頑張ろうかなと思ってましたけど。よかったです」。互いの投球スタイルやタイプも違えば天候、球場などの条件も違う。ジョーク交じりの一方、前田に刺激を受けたかのように、日本人投手2人が2日連続で同地区の宿敵ブ軍を沈黙させた。

コロナ禍の影響もあり、前日までの2日間の遠征に同行せず、本拠地シカゴに残って調整を続けた。「日本では(残留調整は)ありましたが、米国では初めて。気持ち悪いというか、正直、不安になってました」と明かした。行動規制がある中での調整、度重なる日程変更…。例年とは異なる環境でも、ここまで4試合に登板し防御率は1・88。「悪くもない」と振り返ったダルビッシュが完全に仕上がれば、ノーヒッターも夢ではない。