MLBは、年々増加していた本塁打数を抑えるため、低反発に改良した公式球を今季から使用することになった。8日付のジ・アスレチックスによると、ボールの内部構造を変えることにより、大きさを変えずに最大2・8グラム軽くし反発係数を減少させたことなどを、大リーグ機構が各球団に通達したという。実験では、従来のボールで114メートル飛んでいた打球は飛距離が約30~60センチ落ち、本塁打数は全体で約5%減少する結果が出ている。また、投手の球速への影響はないとされている。

本塁打数は19年に史上最多の6776を記録し、昨年のポストシーズンでは本塁打、三振、四球ばかりで試合の動きが少ないことに懸念の声が上がっていた。前カブス編成本部長のテオ・エプスタイン氏(47)は、1月にコミッショナー付のコンサルタントに就任した際「ファンにとって試合をより楽しめる動きの多いものに変わるよう、我々全員で取り組んでいく」と抱負を述べていた。「私が最高と思う野球の試合は、インプレーの時間が長く、その中で素早い動きがたくさんある。二塁打、三塁打、盗塁が多いもの」と話したこともある。フライボール革命によって我も我もと競って打球を上げてきた最近のMLBの野球に、一石を投じる発言だった。

本塁打数を減らすことは、エプスタイン氏らMLBが取り組む「動きのある野球」への1歩。これで打者の意識が打球を上げることからコンタクトへと変わっていけば、ボールの低反発化は成功といえる。【水次祥子】