大谷サイドと球団側、両者の思惑が合致した。電話会見に応じたエ軍のミナシアンGMは2年契約について「双方にとってリスクと見返りがある。我々にとっても彼らにとっても理にかなっている」と説明した。

両者は21年シーズンの年俸について、1月15日の期限までに合意できなかった。米メディアによれば、大谷側の希望額は330万ドル(3億4650万円)で、球団側は250万ドル(2億6250万円)。同GMは「彼は(投打の)両方でチームを助けてくれる」と二刀流での復帰を期待する一方、過去3年間は故障が続いた。それでも、今回の合意で今季年俸は球団の提示額を上回る300万ドルに。ケガのリスクも承知で大谷側の希望額に歩み寄った。

逆に大谷側から見ると、二刀流での活躍に自信がのぞく。代理人ネズ・バレロ氏は「彼はこのオフシーズン、投打で今まで以上に強度を上げ、試合想定のような状況で調整してきた。全て順調に、スケジュール通り。非常に楽しみにしている」。仮に今回1年契約を結び、二刀流でケガなくプレーすれば22年シーズンは大幅増額が見込めた。しかし2年目550万ドルで合意。年俸を抑えられる点で球団側にメリットを持たせながら、その後のさらなる大型契約を見据えた。

過去、エ軍では主砲トラウトが年俸調停の権利取得後に6年の長期契約を結んだ。今回、球団側は長期契約を避けたが、大谷は22年シーズン後に再び調停の権利を得る。24年にはフリーエージェント(FA)となるため、FA前に長期契約を結ぶか否かが争点となる。いずれにしても、二刀流として結果が求められる2年となる。【斎藤庸裕】