【グレンデール(米アリゾナ州)13日(日本時間14日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)がホワイトソックスを相手にオープン戦2度目の登板に臨み、相手打者も脱帽の進化したカーブを披露した。

交代しても再登板ありの特別ルールで2回1/3を投げ、6安打5失点の4奪三振。全58球中、14球カーブを投じ、精度を確認した。カウント球が主だった球種を新たに勝負球として加え、今季の二刀流復活へ弾みをつける。

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大谷が“スマイルカーブ”で58球のフィニッシュを飾った。3回1死三塁、打ち気満々の8番メルセデスを99マイル(約159キロ)の直球で追い込んだ。その後のスライダーは2球続けて見極められ、8球目の勝負球に選択したのはカーブ。79マイル(約127キロ)が外角低めに決まった。空振り三振。「最後の方のカーブも良かったですし、比較的、カーブは良かった」とうなずいた。

精度に納得していた男は、もう1人いた。三振を喫したメルセデス。大谷に向けてサムアップしながら、打席を後にした。「ナイスボール、使える」と言わんばかりの顔で、うなずきながら敗北を認める姿に大谷は思わず笑顔。「最後の方は力入れて投げていたのでバッターも分かっていたと思いますし、その中で最後のボールも良かったかな」と楽しそうに振り返った表示にも手応えがにじんだ。

この日はカーブを意図的に多投し14球。「去年、2018年より、ちょっと速い感じのイメージで投げている」と、平均球速は18年よりも約3マイル(約5キロ)速い76・9マイル(約124キロ)。縦に鋭く曲げた。これまではカウント球で使ってきたが「最後に空振りを取る、三振を取る球としても有効になってくれればもっともっといい」と、勝負球に加えるつもりだ。

一方で2回に浴びた本塁打は、逆球で甘く入ったカーブを捉えられた。「打たれているのは抜け球か(ストライクを)取りにいっているボール。そこは注意して投げていればいい」。好感触を得たと同時に、課題も見据えた。相手からの“お墨付き”を得た1球をさらに磨き上げていく。

◆大谷とカーブ 日本ハム1年目は球速が90~100キロ前後だったが、2年目のキャンプで改良。120キロ前後のパワーカーブを習得し、2種類を使い分けるようになった。メジャーでは1年目、18年の平均球速が73・9マイル(約119キロ)。2試合の登板に終わった昨季と合わせて合計933球中、61球がカーブで、そのうち決め球として三振を奪ったのは、わずか1球。配球の割合は全体の約6・5%だった。変化球ではスライダーが約25%と最も多く、続いてスプリットが約21・9%となっている。