エンゼルス大谷翔平投手(26)が、ロッキーズ戦でオープン戦5号アーチを放った。「2番DH」で出場し、1回に左翼ポール際へ先制ソロ本塁打を運んだ。

球団広報のツイッターによれば、オープン戦で5本塁打を放ったのは05年のヤンキース松井秀喜に並び日本人最多タイ。

松井がオープン戦5号を打ったのは、メジャー3年目の05年3月19日(日本時間20日)のインディアンス戦。「4番左翼」で2打席連続弾を決めた。この1戦の記事を復刻します。

05年シーズンの松井はともにメジャーキャリアハイの打率3割5厘、打点116をマーク。本塁打23本で、チームの地区優勝に貢献した。大谷はシーズンでどんな数字を残してくれるか-。(所属、年齢など当時)

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【ウインターヘブン(米フロリダ州)19日(日本時間20日)】ヤンキース松井秀喜外野手(30)が2打席連続アーチを放ち、2週間後に迫った開幕へ向け100%の状態に仕上がった。インディアンス戦に「4番・左翼」で出場。初回に4号2ラン、4回に5号ソロを右越えにたたき込んだ。甘い球を見逃さず、打ち損じをしないのは、超一流のスラッガーの証明。シーズン換算で、あのボンズ超えとなる「74発」の量産ぶりだ。打率は3割7分5厘で、打点(14)もメジャートップ。飛躍の3年目を迎え、タイトル争いへの期待は高まるばかりだ。

4回表、この日2球目の失投が、真ん中高めの甘いコースに来た。松井の目が変わった。獲物を仕留めるハンターのように、確実にバットの芯(しん)でとらえた。打球は、ライナーで右翼フェンスのはるか上を越えていく。カウントは1-3で球種はストレート。1打席目とまったく同じ状況だ。いずれも打った瞬間にそれと分かる、完璧な当たりだった。

松井 打者有利なカウントで、ほとんどド真ん中のボールですから。それを芯でとらえられなければヤバイでしょう。

難しい球を打つのではなく、甘い球を確実にスタンドに運ぶ。打撃フォームを変えることなく臨む今季のテーマ「打ち損じを減らすこと」をオープン戦から確実に実践している。相手からの警戒が昨年以上に強まることも、有利に働きそうだ。この日のように、投手が自らカウントを苦しくしてストライクを投げざるを得ない状況は増えてくる。打たれたイ軍先発エラートンも「甘い球は逃さない」と脱帽するしかなかった。

オープン戦の時期に好調だと必ず出てくる話題がある。「(報道陣の)皆さんが大好きな、このままで行けば何本ペースですね」。オープン戦11試合で5発。単純にレギュラーシーズン162試合に換算すれば、ボンズ(ジャイアンツ)が持つ大リーグ記録を1本上回る、74本を打つ計算になる。もちろん、机上の計算にすぎないが、昨年までの安定感に加えて、固め打ちができる爆発力が備わってきているのも事実だ。

キャンプ中に必ず悩まされる花粉症も「鼻水たらしながらプレーしてますよ」と気にならないほど調子はいい。「何が100%の状態であるか、というのは難しいけど、自分の中ではある程度、感じるものはありますよ」。いつ開幕してもいい状態に仕上がったことだけは間違いない。3年目の松井は、夢を夢で終わらせない雰囲気を漂わせている。

○…日本人メジャー初の開幕4番も現実味を帯びてきた。打順はまだ決まっていないがジーター、ロドリゲス、シェフィールドに続く4番を松井とジアンビが争っている状況。トーリ監督は左打者を並べることを嫌う傾向があり、どちらかがクリーンアップを外れることになる。しかし、ヤ軍公式ホームページで行われている「今年のクリーンアップを任せたい選手は」というアンケートでは、シェフィールドと人気を二分し40%強の支持を得ている。4番争いは松井が頭ひとつ抜け出している。