マリナーズ菊池雄星投手(29)が、今季3試合目となる先発マウンドに上がり、7回6安打5失点4四死球3奪三振の内容で、勝敗は付かなかった。

残った数字だけを見れば、悔やまれる登板だった。立ち上がりから小気味よいテンポでアウトを重ね、4回までわずか35球。5回1死までは無安打投球と、ほぼ完璧な内容だった。

ところが、5回に初安打を許すと、四球と連続長短打で3失点。1点差に詰め寄った直後の7回にも2点を失い、91球で交代した。打ち取った当たりが安打になるなどの不運もあり、リードを許してマウンドを譲った。「バランスも良かったですし、すべての球でストライクが取れましたが、もう少し工夫することも必要だったかなと思います」。

その一方で、手応えや収穫も感じた。最速は97・8マイル(約157・5キロ)をマーク。打者30人に対し、初球ストライクが21回(70%)と、今季のテーマに挙げている「ストライク先行」で、主導権を握る投球を続けた。サービス監督も「投球成績以上に、いい内容だった。彼がアグレッシブに投げれば、いいことが起こる」と、勝利投手なみに評価した。

今季未勝利とはいえ、3戦はいずれも6回以上をクリア。快テンポの投球が攻撃のリズムを生み、8回には打線が同点に追い付き、菊池の黒星は消えた。しかも、マリナーズは9回裏、サヨナラ勝ちを収めて3連勝。地区首位の座をキープした。「先発投手が長いイニングを投げれば、こういう試合も増えていくと思います。自分の球で押せてたり、差し込めてましたし、自信にしていいかなと思います」。白星は逃しても、91球で7回を投げ切った登板は、飛躍を予感させるのに十分だった。