マリナーズ菊池雄星投手(29)が確かな手応えを得た。5日(日本時間6日)、オリオールズ戦に先発し、7回87球を投げて5安打3失点1四球7奪三振。味方打線が相手先発のジョン・ミーンズ投手(28)にノーヒット・ノーランに封じられ2敗目(1勝)を喫したが、最速98マイル(約158キロ)の直球に岩隈久志特任コーチ(40)からアドバイスを受けたチェンジアップを織り交ぜ、先発の役目を果たした。

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黒星を忘れさせるほど、安定感抜群の内容だった。試合後の菊池の言葉は、敗戦投手のものには聞こえなかった。「すべての球でアウトを取ることができましたし、いい投球ができたと思います」。2回、シフトの逆を突かれた安打などで2点を先制された。7回にはソロ本塁打を浴びたが、テンポ良くストライクを先行させて7奪三振。21アウト中、内野ゴロが11とハードコンタクトをさせない投球術で、今季6試合中4回目のクオリティースタート(6回以上、自責3以下)クリアとなった。

前回4月29日のアストロズ戦で、7回を1安打無失点に封じ今季初勝利をマーク。「この間がたまたまでなかったというのを見せられたかなと思います」とうなずいた。前日4日に、岩隈特任コーチからチェンジアップの感覚について助言を受けた。「バドミントンのラケットを振る感じ」でキャッチボールをしたところ、「前ではなく、速球よりも真上で」リリースする「初めての感覚」で操れるようになったという。この日は7三振中4つをチェンジアップで奪った。カットボール、スライダー主体の投球に、新たな引き出しが加わり「すばらしいアドバイスを毎日頂いています」。大先輩へ感謝の言葉も忘れなかった。

2戦連続で7回以上を100球以内で投げ切り、投球リズムも安定してきた。「勝ちきりたかった。ただ、毎試合、気づきがありますし、そういう経験を無駄にせず、大事な後半戦へ向けて自分の投球を確立させていきたいです」。敗れた悔しさはもちろんあるが、手応え十分の投球に、菊池は最後まで前向きだった。【四竈衛】