【アナハイム(米カリフォルニア州)5日(日本時間6日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)の今季2勝目はお預けとなった。

レイズ戦に先発し、5回0/3を1安打無失点。勝ち投手の権利を得て降板もリリーフ陣が逆転を許し、チームは4連敗で最下位に転落した。主力野手の故障続出によるベンチ要員の不足で、この日はDHを解除して投打で出場するリアル二刀流は断念。投手に専念となったマウンドで7奪三振の力投も、6四球と制球は乱れた。浮き彫りになった精神面の課題は、直球に象徴的に表れた。

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これまでの登板と同じく散らばった真っすぐ。同じように、大谷の心も乱れた。1回は、直球の4球連続ボールで与えた四球が2度。投球間に審判に直接ストライクゾーンの確認を行うほど制球に苦しんだ。「初回の入りはどのピッチャーもやっぱり難しいところはあるのかなと思う」。それだけではない。精神的な気負いが、乱れに拍車をかけた。

「どちらかというと投げ急ぎ。早く終わりたいというか、早く攻撃に移りたいという心理が働くかなと思うので、そこを毎回、落ち着いていけることが大事」

レンドン、アップトンら主力の故障で、ただでさえ得点力が落ちている状況だった。ならば、投球のリズムから打線に流れを引き寄せるのが先発の役目。チームに貢献したい気持ちが裏目となり、立ち上がりから雑念が生じた。

1回を無失点に抑え、2回の球数は11。次第に落ち着きを取り戻した。「ボール自体は悪くないのかな、という感じ」。3回には1番ローから99・4マイル(約160キロ)の外角直球で空振り三振を奪った。

「要所要所で力入れて三振とったりはしていたので。それは打者の様子を見たりだとか、その中でいけたのが良かった」。

だが、3回。味方打線が挙げた先制の援護点が再び心を揺さぶった。

「なかなか点が入らない中で貴重な1点を取ってもらったので、その1点をいかに守れるか」

力みが投球に表れた。直後の4回、2死から筒香に真っすぐが4球連続で外れて四球。「抑えたか、打たれるか、っていうのがベストではあるのかなとは思うので。(四球で)勝負できなくて申し訳なかったなと思います」と唇をかんだ。

5回まで75球。6イニング目、欲が追い打ちをかける。「7回くらいまで見据えていきたいなと思っていた」。結果、8球連続ボールの2者連続四球で交代を告げられた。

「先を見据えすぎると良くないのかなというところはありますし、見据えなさすぎるのもよくはない。そういう気持ちのバランス」 課題は明確になった。

投手としては発展途上。それでも、打者を圧倒する力がある。この日の最速は99・8マイル(約160・6キロ)をマーク。「良くなかった」というスプリットでも7三振中、4つを奪った。前回登板のレンジャーズ戦から9回0/3を無失点。乱れても、未完成でも、ゼロに抑える。課題は伸びしろ。「投手大谷」の底力は計り知れない。