「2番DH」で出場したエンゼルス大谷翔平投手(26)が、今季8個目の盗塁を決めた。

1回無死の第1打席、右腕ジルベルトと対戦し、四球で出塁。その後、4番ウォルシュの打席の3球目にスタートを切り、二盗を成功させた。8盗塁はリーグ7位タイ。

球団広報のツイッターによれば、8試合以上の先発と8盗塁以上を複数シーズンでマークしたのはウィン・マーサー以来で、120年ぶり。メジャー草創期、1リーグ時代の19世紀に活躍したウィン・マーサーとは?

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175センチ、69キロと小柄ながら投手、三塁手と外野手を起用にこなし、19歳だった1894年にセネタースでメジャーデビュー。1年目から4年連続で2ケタ勝利、300イニング登板、30完投をマーク。1898年から1901年まで4年連続で20試合先発と2ケタ盗塁もマークした。投手では通算132勝164敗10セーブ、防御率3・98。打者では打率2割8分5厘、7本塁打、197打点、88盗塁。

「イケメン」として女性人気も高かった。自伝によれば、球団は1897年、人気に便乗して火曜日と金曜日に「レディースデー」を開催。両曜日を選んでマーサーを登板させたという。ある試合で退場宣告された際には、怒った女性たちがグラウンド内に入り、球審を取り囲んで押し倒し、服を破るなどの大騒動になった。

1901年から創設されたア・リーグに加盟したセネタース(現ツインズ、前記セネタースとは別球団)へ移籍。同年、ア・リーグの投手として史上初の本盗を記録。翌1902年はタイガースで4完封を含む28完投で15勝18敗、防御率は自己ベストの3・04。同オフに選手兼任監督に任命されたが1903年1月12日、巡業で訪れたサンフランシスコのホテルで謎のガス自殺を遂げた。ギャンブル癖があっての借金苦などがささやかれたが、真相は不明。28歳の短い生涯を終えた。