【アナハイム(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャー自己最長の特大弾を放った。ロイヤルズ戦に「2番DH」で出場し、1回の第1打席で先制の17号2ラン。飛距離470フィート(約143メートル)で、自己最長を更新した。3打数2安打2打点で2連勝に貢献。本塁打数では両リーグトップまで1本差に迫り、球宴前夜(日本時間7月13日)に開催されるホームランダービー日本人初出場へ、強烈にアピールした。

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大谷は口を開き、メジャー人生で最も遠くに飛ばした打球を見上げた。1回無死一塁、左腕バビクの真ん中に入ってきた甘いチェンジアップを逃さなかった。「いいホームランで、いいスタートが切れて良かったです」。本塁打と確信するとバットをゆっくり離し、完璧な当たりの余韻に浸った。右中間へメジャー自己最長となる約143メートルの特大17号2ラン。豪快な先制弾をかまし、序盤で一気に流れを引き寄せた。

夢の祭典へ猛アピールの1発だ。球宴ファン投票ではDH部門にノミネートされたが、日本人初となる本塁打競争への出場も期待される。この日のTV中継ゲストには、エ軍OBで通算287本塁打のギャレット・アンダーソン氏(48)が出演。「ホームランダービーで戦うのを見たい。皆が見られる場に出るべき」と目を輝かせた。舞台は高地で打球が飛ぶと言われるコロラド州デンバーのクアーズ・フィールド。3年前、同地でフリー打撃を行った大谷は推定150メートル弾を連発した。あの時のパワーをほうふつとさせる特大弾を、真剣勝負の公式戦でかっ飛ばした。

飛距離だけではない。技術でも進化を続ける。メジャーで通算打率1割1分1厘だった左腕のチェンジアップを初めて本塁打とした。前日まで2試合連続で3四球。各球団のバッテリーの警戒度は高い。この日も外角、内角とボールを散らされる中、好球必打のスタイルを崩さず、甘く入った1球を逃さなかった。

第2打席も右中間へ弾丸ライナーの二塁打を放ち、2安打2打点で打線をけん引。先制17号を口火に、チームは5発8得点で快勝した。試合後、マドン監督は大谷の1発について「あそこまで飛んだのは見たことがない」と目を丸くした。打者に専念した19年の18本塁打まで早くもあと1本。両リーグトップの本塁打数にも1差と迫った。やっぱり大谷にはどでかい本塁打が似合う。

◆日本ハム時代の球宴本塁打競争 大谷は16、17年に連続出場。両年とも2戦行われ、16年の第1戦はヤクルト山田に6-5で勝ち、決勝もソフトバンク柳田を3-2で退け、初出場初優勝を飾った。第2戦は決勝で西武メヒアに0-1で敗退。翌17年は第1、第2戦とも初戦敗退。