【アナハイム(米カリフォルニア州)19日(日本時間20日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、念願のホームランダービー出場を表明した日に、今季初の1試合2発を放った。タイガース戦に「2番DH」で出場し、第3打席で20号2ラン、第5打席で21号ソロを放った。日本人メジャー選手では初出場となる本塁打競争では「出るからには目指したい」と優勝を目標に掲げた。開催日は球宴前日の7月12日(同13日)。舞台はロッキーズの本拠地コロラド州デンバー。標高1600メートルの高地でボールが飛びやすいと言われるクアーズ・フィールドだ。

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日本を代表し、大谷がメジャーの頂点に挑む。ホームランダービーへの参加を一番乗りで表明した。屈指のパワーヒッターがそろう球宴の前夜祭。日本人で初出場、そして初優勝を目指す。「もちろん出るからには目指したい」。舞台は高地で打球が飛ぶと言われる、コロラド州デンバーのクアーズ・フィールド。「飛ぶ球場なので、せっかくなら誰よりも遠くまで飛ばせるように頑張りたい」と、やる気をみなぎらせた。

日本人としての挑戦。4年目、満を持して出番が回ってきた。「日本人が出ているところを見てみたいなと。実際に自分が出られるなら出られるで、すごいワクワクしてますし、楽しみ」。過酷な争いで、体への負担が大きいことから辞退者も出る。それでも「やってみないことには、何事も経験してみないと分からないので」。二刀流でフル稼働している今季。シーズンへの影響を考慮した上で「トータルで考えて、決めましたね」と決意を固めた。

すると早速、ホームランアーティストの能力をド派手に披露した。表明後のタイガース戦、5回の第3打席で右越えに放った弾丸ライナーの20号2ランは、メジャー通算68本塁打で最も角度の低い18度。8回の第5打席の21号は内角球を左中間へ運び、逆方向へ長打を打てる持ち味を発揮した。球場全体に響く「MVP!MVP!」コール。本塁打競争のデモンストレーションかのように、右へ、左へ放り込んだ。

ファンの期待を背に、試合後のヒーローインタビューでは「力自慢の人たちがいっぱい集まるので、そこでどれだけ自分が出来るのか。すごく興味はあります」と心を躍らせた。5打数2安打3打点で、チームの11得点と2連勝に貢献。日本人初の晴れ舞台へ、豪快な門出となった。

▽マドン監督 彼が出たいという意欲が一番。(出場は)私もうれしい。今以上に注目される機会。MLBにとっても良いことだ。

○…大谷は打撃投手としてブルペン捕手のジェイソン・ブラウン氏を選んだことを明かした。本拠地アナハイムに近いカリフォルニア州ロングビーチ出身の同氏は、エンゼルス2年目の47歳。打撃投手は選手が自由に選べることになっており、最近では18年、当時ナショナルズで現フィリーズに所属する左の強打者ハーパーが、父のロン・ハーパー氏を選び、劇的な優勝を飾った。

▼大谷が19年6月30日アスレチックス戦以来、大リーグ4度目の1試合2本塁打で今季20、21号。大リーグ1年目の18年(22本)以来、3年ぶりの20号に到達した。日本選手のシーズン20本塁打以上は松井秀喜の5度と大谷の2度。チーム70試合目の到達は、04、07年松井の106試合目を36試合更新する日本選手最速となった。あと1本で日本ハム時代の16年、大リーグ移籍後の18年にマークした自己最多の22本に並ぶ。