【アナハイム(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、父の日にプロ最多となる23号本塁打を放った。タイガース戦に「2番DH」で出場し、第3打席で中越えへ一時同点となる23号2ラン。6戦6発で、本塁打数はブルージェイズ・ゲレロと並んでメジャートップとなった。4打数1安打2打点。勝利は届けられなかったが、野球の基礎を学んだ父徹さんへの感謝を、3戦連発と自己最多本塁打で示した。

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大谷は右拳を握り、力強くガッツポーズした。2点を追う5回1死二塁、右腕マイズの低めスライダーをセンターへ打ち返した。「立ち遅れていたので、(タイミングが)遅れないように」。下半身で粘り、上半身をもぐらせるようにスイングした。父の日に放った自己最多23号は、一時同点となる2ラン。三塁を回り、大きく口を開けて気迫を前面に表した。

93マイル(約150キロ)前後の速球、スプリット、スライダー、ナックルカーブと多彩な球種で攻められた。第1打席は2ストライクから4球ファウルで粘りながら、空振り三振。第2打席は3球三振を喫したが、3度目の対戦でリベンジした。「最初の2打席、内容的にあまりよくなかったので、そういう打ち取られる打席をもっといい打席にできれば、もっと調子が上がる」。6戦6発、自己最多の23号には「まだ前半なので、もっともっと打てるように頑張りたい」と、いつも通り前を見据えた。

父の日とはいえ、勝負に徹した。第2打席までは特別仕様で水色の手袋、スパイク、バットで打席に入った。「打てないから」と、黒のバットに戻して臨んだ第3打席で3戦連発となる一撃。父徹さんから教わった野球の基礎を胸に、メジャー屈指の打者に成長した。父の日に見せた、センター返しの本塁打。「特にそれで変えるということはないので、毎日同じようにゲームに入って、毎日同じように打席に向かっていけたら」と冷静だった。

過去3年間は故障を繰り返し、求められた打撃が出来ずに悔しさを味わったことが何度もあった。「何事も経験」がモットー。紆余(うよ)曲折を経ながら、秘めた能力がようやく結果として表れてきた。本塁打数はメジャートップタイ。試合後、4番レンドンから「彼は今までで最も素晴らしい打者」とたたえられた。26歳のメジャー4年目、間違いなく過去最高レベルにいる。