米オールスター前日に開催される人気イベント、ホームランダービー(本塁打競争)の出場者8人が7日(日本時間8日)に出そろい、組み合わせも決定した。

ホームランダービーは12日(同13日)、ロッキーズの本拠地クアーズフィールドで開催される。全30球団の中から、力自慢のアーチスト8人が集結。エンゼルス大谷翔平投手(27)も日本人選手として初参戦し、初戦はナショナルズのフアン・ソト外野手(22)と対戦する。優勝賞金100万ドル(約1億1000万円)を懸けた争奪戦の行方を占ってみる。

大谷が大本命であることには異論がない。両リーグトップの32本塁打で第1シードに入った。2位ゲレロ(ブルージェイズ)に4差。27本の3位タティス(パドレス)ともに、大谷の対抗馬とみられた両者は後半戦への影響を考えて同ダービーを回避し、球宴に専念する。ダービー参加者では、次点はギャロ(レンジャーズ)の23本塁打になる。大谷は本塁打の平均飛距離も今季両リーグ1位。誰よりも早く参戦表明したことで準備期間が長く、「大谷のオールスター」として前夜祭から主役を期待されている。

不安材料を挙げるなら、クアーズフィールドでは出場4試合と不慣れなところか。そして、4分間ひたすら打ち続け、決勝まで3ラウンドをこなす過酷な体力勝負になる。前回19年のゲレロは計91発打っても準優勝に終わった。決勝までの力配分も求められる。また、現行方式となった2015年以降の過去5回で、第1シードは優勝どころか決勝進出もない。前回までは3大会連続で、初戦の準々決勝ラウンドで姿を消している。ジンクスとの戦いにもなる。

ほか7人から大谷を脅かす存在を挙げるなら、球宴の不選出組だろう。貴重な3日間の球宴休暇を返上してまで、このイベント一本に懸けており、気合の入れ方が違う。前回から優勝賞金が大幅アップしたことも鼻息を荒くする。

球宴不選出組はアロンソ(メッツ)、ストーリー(ロッキーズ)、マンシーニ(オリオールズ)の3人だ。アロンソは前回覇者。2度目の出場もただ1人で、ダービーの戦い方を熟知する。マンシーニは昨季、ステージ3の結腸がんが判明してシーズンを全休。治療で克服した今季の復活劇はファンの感動を呼んでいる。ストーリーは8人の中で2番目に少ない今季11本塁打だが、18年は37発、19年は35発の実績を持つ。ホームチームを代表し、地元ファンの大声援もあり、侮れない。【中島正好】

 

◆本塁打競争 オールスター戦前日に行われる人気イベント。出場8選手は球宴選出者の中から基本的に招待されるが、辞退者も多いため、過去には16年スタントン外野手(ヤンキース)ら未選出の優勝者も。前回19年から優勝賞金が100万ドル(約1億1000万円)に大幅アップとなり、競争は白熱した。準々決勝からの3ラウンド制はいずれも1対1で争い、勝った選手が次のラウンドに進む。15年以降は4分間で投球数は無制限。投球者はコーチや実父ら、好きな人を指名できる。また、440フィート(約134メートル)以上の特大弾を2本放てば30秒間のボーナスタイムが与えられた。19年はアロンソ内野手(メッツ)が優勝。ゲレロ内野手(ブルージェイズ)は1ラウンド40発、3ラウンド計91発のともに新記録をマークしたが、決勝は1本差で惜敗した。