マリナーズ菊池雄星投手(30)が、6回6安打3失点1四球、自己最多となる毎回12奪三振の快投を演じたものの、勝敗はつかなかった。

球宴前の体調不良からの完全復調を印象付ける95球だった。味方打線が2回に3点を援護。3、4回にソロ本塁打を浴びたが、奪三振ペースは最後まで変わらなかった。5回には、不運な安打や拙守も絡み、同点に追い付かれた。それでも、6回は2奪三振を含む3者凡退でフィニッシュ。敵に流れを渡さず、同点のまま、救援陣にバトンを渡した。

これまでカットボールだった投球の軸を、最速156キロの速球にアレンジした。今季24%だった速球が、この日は44%。速球が走れば、打者は落ちる球に手を出してくる。実際、速球との相乗効果で、最終球はチェンジアップで9三振。右打者8人(両打ちを含む)を並べた同地区アスレチックス打線の狙いを、ことごとく外した。「これまでと違う攻め方ができたので、違った引き出しになったのかなと思います」。

菊池自身に白星はつかなかったものの、マリナーズは終盤の競り合いを制して貯金6。「今日みたいにいい真っすぐが投げられればと思いますし、この感覚を忘れないようにしたい。やっぱりストレートありきで、ストレートにこだわってきましたから」。メジャーで戦い抜くには、技も不可欠とはいえ、投球の根幹は速球。菊池が本来追い求めるスタイルをあらためて思い起こさせる、圧巻の奪三振ショーだった。