【アナハイム(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、二刀流でメジャー自己最多の5勝目を挙げた。DH解除の「2番投手」で出場し、1回に先制適時打を放つと、すかさず二盗を成功させた。球団では本拠地で盗塁を決めた投手はノーラン・ライアン以来、49年ぶり。投手では7回99球、5安打1失点で5勝目を挙げ、最後の1球で直球の最速99・7マイル(約160・5キロ)をマーク。チームの3連勝に投打で貢献した。

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大谷はユニホームを汚し、最初から最後まで投打でフル稼働した。1点リードの7回2死、「ホームラン打たれてるバッターでしたし、しっかりと最後まで気を抜くことなく、三振を狙いにいきました」。99球目、最速99・7マイル(約160・5キロ)の外角直球で9番ヌネスを空振り三振に仕留めた。腕を振った勢いそのままに、こん身のガッツポーズ。この日5三振で今季100三振をマークした。

1回から二刀流らしさ全開だった。第1打席、右前への先制打で自らを援護。その後、1死一塁でロ軍の先発マルケスから3球連続でけん制を受けた。手から帰塁し、体の前面に土が何度もついた。二盗では足からスライディングで白のユニホームがさらに汚れた。4番ウォルシュの適時打で追加点のホームを踏み、ベンチへ戻ると今度は投手の準備。まるで高校野球かのように、2回以降は土だらけでマウンドに上がった。

終盤を見据え、体力を温存する必要がある先発投手。それでも1回から走り回った。「長く投げるためにも1点を入れた方がいいので、あそこはもう1点入れられるシチュエーション。二塁に進むことの方が自分が投げていく上で重要」。二刀流ならではの最善策。7回99球を投げ、「最後の回、しっかり球速も出てましたし、体力もそれなりに残っている状態でフィニッシュしてるので。最後まで自分のペースで出来ていた」と充実感をにじませた。

投打で3連勝に貢献し、今季5勝目はメジャー自己最多。「感覚の方が今は大事。前半戦より投球の感覚も1球1球のボールも、良くなってきているとは思う」と手応えがある。各打席では「MVP!MVP!」とファンの声が響く。「ここ4年間は2つで完走してないので、最後まで健康体でしっかりと自分のパフォーマンスを維持できれば。その先でそういうものを取れたら幸せかなと思ってます」。100三振を奪った選手が、35本塁打を放つのは大リーグ史上最多。あと約2カ月。フル回転で駆け抜ける。

○…大谷が東京五輪で金メダルを目指す侍ジャパンへエールを送った。日本ハム時代に2年間、ともに戦った稲葉監督が日本を率いる。激励する気持ちについて「もちろん、そうですね。(金メダルを)とってくれれば、うれしいなと思います」。また、他の五輪競技については「ちょっとしたニュースで誰が勝ったとか、だめだったっていうのを、ちょこっと知る感じ」と明かした。

▽マドン監督(1回に盗塁した大谷について) 非常にやる気に満ちている。投げている時に得点すること、投打で貢献することに責任があると感じているのだろう。それを彼は強く思っているし、出来ると分かっている。素晴らしかった。

▼大谷が初回に先制の適時安打を放ち、これが勝利打点(V打)になった。大谷の勝利投手&V打は移籍後初めて。日本では1度あり、16年7月3日ソフトバンク戦で先頭打者本塁打による先制点を挙げ、投げては8回無失点だった。大谷は25日ツインズ戦でもV打をマークし、2試合連続V打は19年6月11、13日に次いで大リーグ2度目。