【アナハイム(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、待望の45号アーチを放った。「2番DH」で出場したアストロズ戦の8回に右翼席へ飛距離約137メートルの特大弾をたたき込んだ。10試合ぶりの1発で、シーズン45本塁打はトラウトに並ぶ球団2位タイ。本塁打数トップのブルージェイズ・ゲレロ、ロイヤルズ・ペレスと1本差とした。残り11試合。日本人初の本塁打王へ、タイトル争いがますます激化してきた。

タイトル獲得へ意欲的な大谷にとっても、待望だったのかもしれない。大敗ムードの8回先頭。スタンドには静けさが残る中、「オオタニ~」と女性ファンの声援が響く。4球目、93・7マイル(約151キロ)の内角直球を完璧に捉えた。甲高い打球音を残し、右翼席へ一直線。大谷は打球の行方を少しだけ見て、息をつくように下を向いた。46打席ぶりに出た久々の1発。マドン監督は「(球を)粉砕したようだった。(最近は)よりいい打席になっている」とうなずいた。

崩れかけていた状態から段階を踏み、本来の姿に近づいてきた。第1打席は内角のカーブを捉え、中飛で凡退。打球に角度がつかなかったが、ボールをギリギリまで引きつけるようにスイングし、センター方向へ打ち返した。第3打席、同じく内角カーブを右前へライナーではじき返し、安打とした。そして、第4打席で本塁打。指揮官は「前打席のライナーの安打も良かったし、(ここ数試合の)逆方向への飛球もいい兆候だと思っていた」と復調を予感していた。

飛距離と角度を出すために欠かせない下半身の動きも、本来の形に戻りつつある。第3打席はインパクト後に軸足の左足が伸び上がって力が抜けたが、第4打席では重心を低く保ったまま、土を蹴るように回転。下半身との連動で最大限の力をボールに伝えた。1球前にはアストロズの捕手マルドナドに何やら話しかけ、ニンマリ。前日は外角攻めで無安打に抑えられ、この日は内角との出し入れで攻められた。その中で、外要求から内へ入ってきた逆球の1球を逃さず仕留め、特大弾で豪快にリベンジした。

シーズン45本塁打は、メジャー屈指の強打者で同僚のトラウトに並んで球団歴代2位。現在リーグトップの46本まで1本差に迫った。残り11試合。「ストライクゾーンをしっかりつかんでいけば、非常にいい打撃が見られるだろう」とマドン監督は言った。ゲレロ、ペレスらと繰り広げる、三つどもえのタイトル争い。主役はやはり、大谷だ。