ア・リーグ最優秀指名打者(DH)に贈られる「エドガー・マルティネス賞」の受賞者が11月29日(日本時間同30日)に発表され、エンゼルス大谷翔平投手(27)が初受賞した。今季は打者で打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、26盗塁の結果を残し、登板日以外にDHでチームに貢献した。日本人選手とエンゼルスで初の受賞者となり、同一年にMVPとのダブル受賞はメジャー史上初。DHでNO・1の称号を得て、11月の表彰ラッシュを「11冠」で締めくくった。

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エドガー・マルティネス賞の受賞者は、専門テレビ局MLBネットワークの番組内で発表された。エンゼルスの主砲といえば、メジャーNO・1外野手とも呼ばれるトラウトだったが、番組の司会者は「彼はMLBが欲していたスター。ここ数年、マイク・トラウト、マイク・トラウト、マイク・トラウトだった話題が、大谷に変わった」と評した。

近年、エンゼルスはトラウトら右の強打者が多く、左の長距離砲は貴重な存在だった。投打の二刀流で打者としての出場はDHに限られる。長打と打点を稼げる左打者として、チームの期待に応える打撃に徹してきた。だが、メジャー2年目の19年は打者に専念しながら、1年目に比べて本塁打数が減少。期待に応えられず、「一番悔しいシーズン」と言った。打撃を改良し、進化を遂げた4年目、本塁打、打点、長打数ともに他球団の候補選手を抑えてトップ。名実ともに、最強のDHとなった。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆エドガー・マルティネス賞 ア・リーグが指名打者制を導入した73年に「年間最優秀DH」の名でスタート。DHで年間100打数以上の選手が対象で、報道関係者や各球団広報の投票で決まる。04年、同賞に5度輝き、同年限りで引退するエドガー・マルティネス(マリナーズ)に敬意を表し、名称を変えた。マルティネスはマ軍一筋18年で2度の首位打者に輝くなど、通算2247安打、309本塁打、1261打点。19年に殿堂入り。同賞の歴代最多受賞はデービッド・オルティス(レッドソックス)の8回。