【アナハイム(米カリフォルニア州)10日(日本時間11日)=斎藤庸裕】“ショータイム”のオンパレード! エンゼルス大谷翔平投手(27)の同僚、リード・デトマーズ投手(22)がレイズ戦で球団最年少でのノーヒットノーランを達成した。期待の2年目左腕が大仕事をやってのければ、主砲トラウトは2発をマーク。メジャー通算100号に王手をかける大谷は「3番DH」で2安打を放った。節目の1発は持ち越しとなったが、チームはお祭り騒ぎの快勝。3連勝で首位を守り、4年ぶりに貯金を10まで積み上げた。

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大谷が、めったに味わえない、特別な勝利に満面の笑みをみせた。9回、ストライク1球ごとに沸き起こる大歓声。プレーオフを戦っているような緊迫感と期待が膨らみ、本拠エンゼルスタジアムは異様な雰囲気に包まれた。最後の打者を遊ゴロに打ち取り、デトマーズが快挙を達成。ベンチから選手たちが一斉に駆けだし、大谷もフィールド上に出来上がった歓喜の輪に飛び込んだ。抱き合い、胸を突き合わせて22歳左腕の偉業を祝福した。

ミラクル・エンゼルス-。その序章は、試合前から始まった。昨季、満票MVPを獲得した大谷を表彰するセレモニーが行われ、客席のファンから「MVP!MVP!」と恒例の大合唱。すると、大谷の活躍にちなんで呼び名がついた「ショータイム」が、次から次に始まった。打線が初回から爆発し、3回までで11安打8得点。試合を早々に決めたが、デトマーズは5回までパーフェクト投球。無安打を継続し、終盤に向かうにつれて目が離せない状況になった。

そして、ありえない展開となったのは大差がついた8回だ。レ軍の外野手フィリップスが6番手の投手として登板。「僕がアメリカン大谷だ」と豪語していた“自称”二刀流は、トラウトにこの日2本目となる豪快な本塁打を浴びると、1死からなんと「リアル大谷」との対戦が実現。山なりのボールで攻められた“本家”は3球目、88キロのスライダー(?)を思い切り引っ張った。右翼フェンス直撃の二塁打。あと数メートルで通算100号の快挙はならなかったが、二塁ベース上で楽しそうに笑った。

極めつきは4番レンドン。右打者だが、野手との対戦のため左打席に立った。2球目をスイングすると、これが右翼スタンドへの4号2ランに。まさかの1発にスタジアムは再び大盛り上がり。そしてお祭りゲームは、デトマーズのノーヒッターで完結した。

シーズン序盤だが、試合終了の瞬間は、まるで優勝したかのような光景だった。チームは3連勝で4年ぶりの貯金10。日替わりでヒーローが現れ、劇的な展開が続く今季のミラクル・エンゼルス。大谷のメジャー5年目、予想だにしない何かが、まだまだ起きそうだ。

 

▽レイズ・フィリップス(ヒルマン元日本ハム監督の娘婿は外野手ながら9回に登板。大谷に二塁打を打たれ)「アメリカのショーヘイが日本の翔平と対戦することをとても楽しみにしていた。どれほどのパワーを持っているか聞いていたが、フェンスを越えなかった。みんなにどちらが良いショーヘイか決めてもらおう」

○…試合前のMVPセレモニーで大谷が記念の盾を授与された。列席したモレノオーナー、マドン監督、ミナシアンGMらと握手。観客からは大歓声と拍手で迎えられ、昨シーズンの活躍を振り返る映像が大型スクリーンに映し出された。同オーナーから盾を受け取り、客席から「MVP!」コールが上がると、帽子をとって会釈。感謝の気持ちを示した。来場者には、先着で記念の大谷ボブルヘッド人形も配られた。