トレードの行方が注目されたエンゼルス大谷翔平投手(28)が、残留決定的となった。1日付のニューヨーク・ポスト電子版が「エ軍が大谷のトレードオファーに応じることを取りやめた」と伝え、複数の米メディアも一斉に残留を報じた。米東部時間2日午後6時(日本時間3日午前7時)のトレード期限を前に、移籍市場の目玉だった大谷の話題が球界を駆け巡った。

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二刀流のスーパースター大谷はプレーだけではなく、球団経営の面でも欠かせない存在だ。今や生え抜きスターのトラウトさえもしのぐ人気ぶり。観客動員、関連グッズ販売、スポンサー広告費などで球団ビジネスを支える屋台骨となっている。広告収入だけで約10億円前後の収益があるとされており、昨年と比較しても約2・5倍。米メディアが報じる記事でも、トラウトより大谷の方が人々の興味をひいているという。

中南米、アジア、欧州からも注目を集め、世界的なスター選手に成長した大谷を、エ軍のモレノ・オーナーは手放さない。球団内ではそうささやかれていた。ある球団関係者は「オーナーは収益を失いたくない」と話していた。若手の有望株や他球団のスター選手を獲得しても、球団ビジネスとしての収益につながるかは不明。また、別の関係者は「オーナーは毎年、勝とうとしている。来年も勝つ気でいる」とも明かした。大谷、トラウトらスター選手を中心に、「勝つ=プレーオフ進出」を目指して戦う意向を示しているようだ。

だとすれば今オフ、投手を中心としたチーム再編が不可欠となる。好投手の獲得にはそれなりの資金が必要で、来季は大谷の年俸も大幅に上がるとみられている。だが、チームの年俸総額が一定額(来季は2億3300万ドル=約315億円)を超えると課されるぜいたく税の支払いに、同オーナーは消極的。年俸は日本円換算でトラウトが約50億、レンドンは約52億で、大谷はさらに高い年俸となる可能性がある。資金はあるが、高額な年俸を払って収益を失いたくない。でも勝ちにいく。矛盾とも思える方針が変われなければ、勝算の見込みだけでなく、来季以降の大谷の残留も見えてこない。【斎藤庸裕】

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