エンゼルス大谷翔平は最終盤、18試合連続安打と22試合連続ノーアーチだった。この数字が今季の打撃を象徴していた。

今季はボール自体と湿度管理が変更となり、本塁打はリーグ全体で5944本から5215本と12%減った。だが、大谷は46本から34本と26%減。長打率は5割9分2厘から5割2分4厘に低下。OPS(長打率+出塁率)も・964→・875に。要因を分析した。

早打ちとなった。1打席あたりの球数が、昨年の4・06球から3・82に減った。このため三振は189から161と大幅に減ったが、四球も96から72と減った。初球スイング率は37・3%から41・7%に上がった。

スイングがコンパクトになった。空振り率が35%から28・2%と6・8%も減った。打球の平均飛距離は197フィート(約60メートル)から178フィート(約54メートル)と1割減。本塁打の平均飛距離も416フィート(約127メートル)から408フィート(約124メートル)となった。打球の平均角度は16・6度から12・1度に落ちた。昨年に比べるとフェンス際で捕球されるシーンが多く、終盤は外角球を逆方向へはじき返す打席も多かった。その分、打率は2割5分7厘から2割7分3厘と大幅に良化した。

守備シフトが影響した可能性はある。大谷が守備シフトを敷かれた率は、昨季が75・4%(609打席中459打席)で、今季は88・4%(648打席で573打席)と急激に増えた。500打席以上の選手ではメジャー全体で7番目に多いシフト率だった。大谷は「もう少し、打率の部分で3割近く打てるようなイメージでシーズン前はいこうと思っていた」と語った。大谷シフトは一、二塁間に遊撃手や三塁手を守らせるもの。引っ張った打球は46・6%から35・8%と減り、逆方向へ流した打球は昨季の22・9%から28・0%に増えた。

左投手に苦しんだ。本塁打は34本中9本、OPSは対右の・923に対し、対左は・788。昨季は46本中18本。OPSは・980と、対右の・954より優れていた。元々苦手ではない、左投手への感覚を取り戻したい。【斎藤直樹】