フィリーズが驚異の粘り腰で逆転勝ちした。

5-5で迎えた延長10回、先頭の3番J・T・リアルミュート捕手(31)が右翼へ勝ち越し本塁打を放った。フルカウントから、ゆらゆらと揺れてから投球する変則右腕L・ガルシアの外角直球を捉えた。飛距離105メートルと、右翼タッカーの頭上をぎりぎりで越え、スタンドの前列に飛び込んだ。

ワールドシリーズで延長回での捕手による本塁打は、1975年のカールトン・フィスク以来47年ぶり。「クールだね。それは知らなかった。いいスイングでチームにリードをもたらせたのは感無量だ。4、5回と流れを引き寄せたし、5点差をひっくり返した勝利は大きい」と喜んだ。

3回までは0-5と敗色濃厚な展開だった。しかし、4回にカステラノスとボームの適時打で3点を返すと、5回にはリアルミュートが2点適時打を放ち、同点に追い付いていた。

守備ではファウルがマスクに当たる場面もあった。「状態は極めていい、正直、頭に問題はなかったが、あごを痛めた。今夜は夕食を食べるのが簡単ではなさそうだが、頭が大丈夫なら問題ないよ」と話した。

リアルミュートは、捕手としては俊足で、走攻守3拍子がそろう好選手。今季は打率2割7分6厘、22本塁打、84打点、21盗塁だった。来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には、米国代表として出場する予定。