パドレスのダルビッシュ有投手(36)が、第5回WBCに出場する侍ジャパンの強化合宿(17~27日・宮崎)に初日から参加する。1月30日(日本時間同31日)、自身のツイッターで表明した。所属球団に早期合流を認められて実現。第2回大会で胴上げ投手となるなど、経験豊富なベテランが初日から参加すれば、チームの士気は大いに高まりそうだ。

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ダルビッシュの実績と人間性が、球団を動かした。パドレスのWBC参加バッテリー組は、2月13日(日本時間14日)までにキャンプ地に集合することになっている。ダルビッシュはツイッターで「早期合流が難しいのは確かです」としたうえで、「ただ自分の場合はベテランであるためパドレスが融通をきかせてくれました」と、所属球団のキャンプイン前に、日本に向かうことが認められたと明かした。

現状では大会ルール上、メジャー組は3月6日の強化試合(阪神戦=京セラドーム大阪)以降でないと試合出場が認められていない。壮行試合4試合(2月25、26日=ソフトバンク戦、3月3、4日=中日戦)に出場できない。故障に備えた高額な保険料などがネックとなっており、NPBが大会主催者と交渉を続けている。だが試合出場できないリスクを抱えても、ダルビッシュは初日から合流することを望んだ。

今大会に参加予定のエンゼルス大谷(6年目)、カブス鈴木(2年目)、カージナルス・ヌートバー(3年目)、レッドソックス吉田(1年目)は、早期合流に向けて準備を進めている段階。しかしメジャー11年目で昨季16勝、通算95勝の実績を持つダルビッシュが初日から参加すれば、平均年齢27・3歳と過去最年少の侍ジャパンにとっては、第1、2回大会をけん引したイチローのように大きな影響を与えるはず。前回優勝の経験を、キャンプからヤング侍に落とし込んでいく。

▽侍ジャパン投手コーチのロッテ吉井監督(ダルビッシュの宮崎キャンプ合流に)「早く会えるのは個人的にはすごくうれしいです。今は自分自身がダルと同じチームになれることに興奮しています」

◆投手と野手の調整の違い 投手はブルペン投球を重ねた後、シート打撃などの実戦形式である程度まで仕上げることは可能。もちろん実戦を経るのが理想だが、経験値の高いダルビッシュであれば、仮に壮行試合に出場できなくても開幕へ調整を進められるとみられる。一方、野手は打撃に加え、守備、走塁とカバー範囲が広い。実戦形式だけでは限界があるため、二刀流の大谷、鈴木、吉田、ヌートバーは、壮行試合から出場できるかどうかが合流時期に直結する。

◆09年侍ジャパンのキャンプ 2月16日から宮崎で開始。前日の15日に初の全体ミーティングが行われ、日本代表候補の33人が全員参加。候補にはイチロー(マリナーズ)松坂(レッドソックス)岩村(レイズ)ら5人のメジャー組が含まれていたが、5人もミーティングに集合し、キャンプ初日から練習に参加。イチローはシートノックで三塁へのレーザービームや背面キャッチで観客を沸かせた。ちなみに、09年以外のメジャー選手は、06年の大塚(レンジャーズ)とイチロー(マリナーズ)は初日から参加、17年青木(アストロズ)は途中で合流した。