【オークランド(米カリフォルニア州)29日(日本時間30日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)のメジャー6年目が、いよいよ開幕する。2年連続の開幕投手を任され、30日(同31日)のアスレチックス戦に「3番DH兼投手」で出場する見込み。昨年は、シーズン途中にMLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」で追加された新球種のスイーパーを操り、ツーシームも駆使した。毎年、レベルアップを遂げる二刀流大谷。果たして、次なる進化とは-。

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大谷は開幕2日前、ブルペン投球でスプリットを多投した。ボールを指で挟みながら、右手を左右の方向に動かし、捕手に合図を送った。ただ単にコースを指示していたのかもしれないが、シュートさせたり、スライドさせたり、落ちるだけでなく横の変化を加えているようにも見えた。名付けるならスプリット・シュート、スプライダーか…。いずれにしても、魔球が今季も誕生するのか、シーズン開幕から注目される。

昨年は新たに命名された“スイーパー”が武器となった。シーズン途中から、MLB公式データサイト「ベースボール・サバント」で追加されたスライダーを細分化した球種で、定義は諸説ある。動作解析などの野球トレーニング施設「ドライブライン」の元職員で、現在フィリーズで分析を担当する人物によれば、球速77マイル(約124キロ)以上で、ボールがリリースされて約12メートルに到達してから16センチ以上曲がり、落ち幅が5センチ以内とされている。簡潔に言えば、球速が比較的速く、鋭角に横に曲がる。

大谷は昨季、スライダーの球速や変化量を変え、状況に応じて自在に使い分けていた。ベースボール・サバントによれば、昨年の配球割合で最多はスライダーではなくスイーパーで、全体の37・4%だった。WBC決勝の9回、打者3人に投じた変化球5球は全てスイーパー。その決め球で、エンゼルスの同僚トラウトから世界一を決める空振り三振を奪った。

米メディアによると、昨年はMLB投手の全投球で占める割合はわずか2・3%。だがヤンキースで昨年ブレークした救援投手ホームズや、ドジャースの左腕ウリアスなど、球団によっては多くの投手が有効に活用していたという。今季も大谷が多投すれば、スライダーに代わってスイーパーが定着するのか。さらには、新たな魔球が再び誕生するのか。進化の証しが、披露される。

【2022大谷の球種割合】

スイーパー 37・4%

フォーシーム 27・6%

スプリット 11・8%

カットボール 8・7%

カーブ 8・6%

ツーシーム 3・7%

スライダー 2・2%