昨年と同じ「野球の日」に、今年は「野球の神様」を超えた。

エンゼルス大谷翔平投手(29)が、元祖二刀流ベーブ・ルースもできなかった2年連続の「2桁勝利&2桁本塁打」をメジャー史上初めて達成した。ジャイアンツ戦に「2番投手兼DH」で出場し、6回を3安打1失点(自責0)。両リーグトップの40本塁打をマークする強打者が、粘投で逆転勝利につなげ、今季10勝目(5敗)を挙げた。チームは2連勝で勝率5割に復帰。1日休養を挟み、11日(同12日)から同地区ライバルの2位アストロズ、1位レンジャーズと敵地で正念場の6連戦に臨む。

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史上初の偉業にも、向上心が勝る。大谷はそうして、数々の歴史を刻んできた。この日も、変わらなかった。6回2死、初球の直球が外角へ外れた。天を仰ぎ、捕手の返球をつかむ左手にも力が入った。マウンド付近で怒りを見せるように言葉を発し、イラ立ちが募った。無失点で切り抜けたが、好投をねぎらうネビン監督の横を通り過ぎ、ベンチ裏へ足早に消えた。

「終始、自分の状態というか、そこにあまり納得いってなかったかなと」

アドレナリン全開-。ふがいない投球に、感情を隠すつもりもない。昨年と同じ「8・9」に2年連続の10勝に到達しても、「内容的にはそこまで良くなかった」。先制点を与え、球数がかさんた。直球の最速は97・9マイル(約157・5キロ)。夏場で、蓄積疲労もある。16日間で16試合。ほぼフル出場で駆け抜けた。

「疲労はみんなピークぐらいじゃないかなと思う。連戦の最後というのもありますし、また明日、休みを挟んで(体が)どんな感じなのか確認しながら、もちろん、休みが必要なら休むことも仕事として大事」

体に多少の張りや痛みがあってもできる限り出場し、勝ちに貢献することを気概としてきた鉄人が、ついに休養の必要性まで口にした。明らかに疲弊した状態。その中で、投打でベストの選択を模索した。今季は電子機器「ピッチコム」を使い、自ら球種のサインを出すことがほとんどだったが、この日は捕手タイスのサインと併用。「任すところと自分でいくところと、キャッチャーの意見を聞きながら」。配球を読まれ、被本塁打が増えた時期もあった。そこから改善し、勝つための最善策をとった。

打者では8回、四球から出塁し、3番ドゥルーリーの右飛でタッチアップ。二塁へ進塁した。「基本的には飛距離と(捕球の)姿勢と、自分の足との兼ね合いで。いけるときはもちろん全部いく」。得点にはつながらなかったが、勝ちに貪欲な姿を最後まで見せた。

チームの現状に対しても、その気持ちは変わらない。ワイルドカード獲得圏内までは7ゲーム差。数字上、逆転は厳しい。だが「可能性がある限り諦めるということはないですし、みんな1試合1試合頑張って、これから連勝を伸ばしていければ、おのずと高まっていける」。昨年は104年ぶり史上2人目の大偉業から、ちょうど1年後にベーブ・ルースを超える2年連続の「2桁勝利&2桁本塁打」を実現してみせた。不可能を可能にする-。それを体現するのが、二刀流・大谷翔平だ。【斎藤庸裕】

▼エンゼルス大谷が大リーグ史上初の2年連続2桁勝利&2桁本塁打。これまでに1度でも達成した選手は、1918年に13勝&11本塁打のベーブ・ルース(ヤンキース)だけだった。1931年にウェス・フェレル(インディアンス)が、22勝&9本塁打をマークしている。

【動画】大谷翔平、95マイルの速球が顔面付近に 目を見開いて驚きの表情