【グレンデール(米アリゾナ州)19日(日本時間20日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、昨年9月の右肘手術後、初のライブBP(実戦想定の打撃練習)に臨み、開幕OKへ1発回答した。同僚の中継ぎ3投手と対戦し、3打席目でバックスクリーン右へ強烈な本塁打をマーク。別メニューでの調整が続いていたが、3月20日の開幕戦(韓国・ソウル)での打者復帰へ向け、万全の状態を証明した。

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狙い澄ましたように、大谷はセンターへ打ち返した。3人目の右腕ファイアライゼンとの対戦。カウント3-2からの6球目、真ん中のスライダーを仕留めた。わずかにタイミングがずれても、芯を食った打球はフェンスを越え、バックスクリーン右へと消えた。フォロースルーは2度目のメスが入った右腕1本。リズミカルに弾み、右足1本で着地。スキージャンプのテレマーク、とはならずとも華麗なポーズを決め、強烈な1発を見舞った。

「President's Day(大統領の日)」で3連休の最終日。多くのファンでにぎわう中、期待に応えるように「ショータイム」を演じた。打たれたファイアライゼンが「ショウヘイを見ようと、静まり返っていた。素晴らしかった」と表現したように、乾いたインパクト音が響き渡った。「おぉ~」とざわめく歓声をよそに、大谷は至って冷静。スイングと感触に違和感があったのか、すぐに打撃データを確認する姿は、あふれる向上心の証しだった。

昨季は日本人初の本塁打王に輝いたが、さらなる改善を目指し、工夫をこらしている。やや重心を低く、体重を体の左側に残すような打撃フォーム。4日前に同僚のブルペン投球で目慣らしを行った際に、極端に意識しているようだった。屋外フリー打撃で完全なアッパースイングのフォロースルーになるのは、ボールを見る時間を長く、捕手に近い位置で捉えているからこそ。コンパクトなスイングだったとしても、飛距離が出る。この日も、ボールの変化に合わせたような形で打球が伸びた。

フェンスを越えた弾丸アーチは、待ち構えていたファンが即座にゲット。「めちゃくちゃうれしい。次はグローブを持ってくるよ」と大興奮で喜んだ。実戦復帰へさらに期待が膨らむ中、ロバーツ監督はこの日の練習前、「彼は毎日、プランを立てて準備している。いずれかのタイミングで実戦に入る」と話すにとどめた。2打席目の初球で自打球を左膝付近に当て、声を上げて痛がったが、次打席で強烈な一撃を放ち、万全の状態を証明した大谷。また一段階、ギアが上がったことは間違いない。

【1打席目(四球)】対ブレージャー(元広島で昨季途中からド軍に加入し、セットアッパーで活躍)

<1>直球 外角高め ボール

<2>直球 外角高め ボール

<3>スライダー 内角低め ボール

<4>カットボール 外角

見逃しストライク

<5>スライダー 外角低め ボール

【2打席目(空三振)】対トライネン(18年は38セーブ、21年は32ホールドと救援経験値は豊富)

<1>スライダー 内角 ファウル

<2>スライダー 外角高め ボール

<3>カーブ 外角 見逃しストライク

<4>スライダー 外角低め ボール

<5>スライダー 真ん中 空振り

【3打席目(中本)】

対ファイアライゼン

(21年55試合で防御率2・73を誇った救援右腕)

<1>直球 外角低め ボール

<2>スライダー 外角高め ファウル

<3>直球 真ん中低め ボール

<4>直球 外角高め ボール

<5>直球 真ん中低め 見逃しストライク

<6>スライダー 真ん中 中越え本塁打

○…日本ハム、オリックス、阪神で活躍し、22年に現役を引退した糸井嘉男氏が、大谷の強烈な1発を目撃した。TBS系「S☆1」の取材でド軍のキャンプ地を訪れ、ライブBPを見学。大谷の打席に「アメージング!いいもの見れました。来て良かった」と笑顔でコメントした。また、大谷が今キャンプで「1080スプリント」の機器を使って走塁改革に励んでいることに触れ、「たぶん(ウサイン)ボルトがやっているトレーニング。今年は40発、80盗塁を彼は設定していると思います」と期待を寄せた。エンゼルスのネビン前監督もライブBPを見守り、大谷と談笑した。