【ピオリア(米アリゾナ州)22日(日本時間23日)=四竈衛】1年目のパドレス松井裕樹投手(28)が、3者連続空振り三振の衝撃デビューを飾った。ドジャースとのオープン戦に日本人選手の先陣を切って初登板。韓国・ソウルでの開幕戦でも対決する同地区の宿敵を3回から5番手として登板。1回を投げ、3打者をすべてスライダーで仕留めた。最速は93マイル(約150キロ)をマーク。「大谷キラー」としても期待される左腕が快調に滑り出した。

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まるで公式戦さながらのように、球場全体が大歓声に包まれた。3者連続空振り三振でフィニッシュした松井を、本拠地ファンは大歓声で、ダッグアウトではダルビッシュやマチャドら主力選手が笑顔とハイタッチでにぎやかに出迎えた。「ホッとしたという、ほんとそこに尽きますね」。クラブハウスへ引き揚げる際には、日本人の女性ファンから「また応援に来ま~す」と黄色い声援を浴びるなど、インパクト十分のデビュー登板だった。

日本で通算236セーブを挙げた左腕でも、米国初マウンドは格別だった。「緊張しました」。先発マスグローブが1死も取れずにKOされるなど、序盤から乱戦となったこともあり、右翼後方のブルペンでは準備中にそわそわした。「まあ、落ち着けみたいな。緊張してて、手の(粘着物)チェックがあるのかなと思ったりとか…」。それでも、プレートに足を掛けると、本来の冷静さを取り戻した。常にストライク先行で12球中ストライクは10球。「結果はちょっと出来すぎかなと思います」と屈託なく笑った。

昨オフ、FAとなった際、スカウトの松井評は分かれていた。昨年3月のWBCの際には、メジャー球への対応に苦慮したこともあり、静観した球団も少なくなかった。だが、キャンプイン時には、現在の状態について「昨年とは違う場所にいる」と客観的に自己分析。この日は、逆球も皆無でサイン伝達機器「ピッチコム」にも対応し、「意外と大丈夫でした。走者なしのところではクリアできました」と、各15秒以内の好テンポでアウトを並べた。

スアレス、ペラルタ、高祐錫らと繰り広げるクローザー争いだけでなく、宿敵ド軍の「大谷キラー」としての期待値も高い。日本での対戦成績は通算2打数1安打1打点、1奪三振。契約後の1月のオンライン会見では大谷のデータ収集に意欲を示し、「世界最高の左打者。抑えられるように全力を尽くす」とも明言した。巨大戦力のド軍を倒さない限り、覇権は見えてこない。「今日良かったからといって、次も抑えられるとは限らない」。文句なしのスタートを切った松井が、快投の余韻に浸ることはなかった。