<マリナーズ4-3レンジャーズ>◇4日(日本時間5日)◇セーフコフィールド

 今年最後の試合が終わり、ファンも選手も球場をなかなか去ろうとしなかった。自然発生的に選手全員がグラウンドを1周、ファンに感謝を伝える。「最後あんなふうになるとは…。生涯忘れられないことになるのかな」。さまざまなシーンに立ち会ってきたはずのマリナーズ・イチロー外野手(35)が、ひどく感慨深げに振り返った。

 一団の中心には仲間たちに担がれたグリフィーがいた。その後に肩車されたイチローが続く。チームを支えた2人を取り巻く雰囲気が、今年のマリナーズを象徴していた。イチローは率直だ。「単純に気持ちのいいチームだった。野球場にきて野球に集中できる。すごくよくなった、というよりは正常になった、とするのが正しいのかも」

 昨季終了後にフロント陣が一新され、監督も代わった。多くの選手が入れ替わり、チーム内の空気も一変した。今季のマリナーズにはまじめに取り組む選手をきちんと評価した。「価値観を共有できていることがうれしかった。そんなことはもう無理だと思っていたから」。プレーオフには進めなかったが、巻き返しの手ごたえを感じた1年だったのではないか。イチローの口調は弾んでいた。