<ワールドシリーズ:レッドソックス6-1カージナルス>◇第6戦◇30日(日本時間31日)◇フェンウェイパーク

 憧れ続けたメジャーの舞台で、レッドソックス上原浩治投手が頂点に立った。決して平たんな野球人生ではなかったが、苦境に屈しない「雑草魂」が右腕を支えた。

 大阪・東海大仰星高時代は全くの無名選手だった。浪人を経て入学した大体大で、ようやく才能が花開く。国際舞台でも活躍し、大リーグ球団からも熱心な誘いを受けた。悩んだ末に巨人入りし、1年目の1999年に20勝を挙げて沢村賞を獲得するなど実績を積み上げたが、メジャーへの夢は捨てきれなかった。ポスティングシステム(入札制度)での移籍を球団に訴えたこともあった。

 海外フリーエージェント権を行使し、2009年にオリオールズ入りして以降は故障が続いた。1年目に右肘腱(けん)を部分断裂し、その後も右肘や左太もものけがに苦しめられた。レンジャーズでリーグ優勝に貢献した11年は、プレーオフで3本塁打を浴び、ワールドシリーズの出場登録を外されたこともあった。

 「野球が大好きだからどんな苦しいことでも乗り越えられる」と、日々の努力を惜しまず、38歳のいまでも精進を続ける。渡米から5年。抑えとしての立場を揺るぎないものにし、歓喜の時を迎えた。