【ニューヨーク12日(日本時間13日)=千葉修宏】ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(41)が、松井秀喜外野手(34)のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場について完全否定した。同GMは今年9月に左ひざ内視鏡手術を受けた松井について「出るなというのではなく、彼は3月にWBCでプレーできるような体にならない」と断言。日本代表第1次候補48人にリストアップされた松井に、左ひざ回復を最優先することを希望した。

 球団事務所が残る旧ヤンキースタジアムから出てきたキャッシュマンGMは、今年9月22日に左ひざ手術を受けた松井が日本代表第1次候補にリストアップされていることを聞くとけげんな表情を浮かべた。そして首をひねりながら、「彼が健康ならWBCでプレーするのはまったく問題ない。ただ体が万全じゃないだけなんだ」と松井の出場を否定した。

 「WBCは野球を広めるためにも素晴らしい大会。私はWBCをサポートしている」という同GM。だが松井に関しては「彼は昨年も右ひざを手術して今年の春先、コンディションを戻すのに苦労した。来年も3月にWBCでプレーする状態にはならないだろう。出るなというのではなく、医学的にプレーできないということ」と説明した。

 松井は今年9月の手術後、「(3月に)100%にはならない。プレーはできるかもしれないですけど。100%じゃないのに出るのは日本のチームに失礼」と話したこともある。現在は市内の病院やヤンキースタジアムで懸命のリハビリを継続中。関節の可動範囲を広げるストレッチや、自転車型トレーニング器具で患部周辺にも負荷をかけて回復を進めている。だがキャッシュマンGMは春季キャンプの大部分は松井をリハビリに専念させるつもりでいる。「我々は彼をヘルシーにして、ヤンキースのためにプレーさせる義務がある」と話した。同GMは、6月に走塁中に右足を負傷し、今季後半を棒にふった王建民投手(28)についても、WBC台湾代表に入るよりも、シーズンへの調整を優先させてほしい、と要請したとされる。来年は新球場もオープンし、今季のポストシーズンにも出られなかった惨敗から、完全なる巻き返しを図らなければいけないシーズン。主力選手のコンディショニングにはかなり気を使っているようだ。

 キャッシュマンGMは「前回大会で、主力選手に出場辞退を求めたといううわさが出たが、あれはまったくのデタラメだ。私は健康な選手の出場を妨げるようなことはしない」という。その上で「でも松井は健康じゃない」と強調した。

 キャッシュマンGMの発言は松井の決断にも影響を及ぼすことも考えられる。前回は本人の意志による辞退となった。今回は、不運にも左ひざの状態が戻らないための欠場となる可能性が出てきた。