【ラスベガス(米ネバダ州)11日(日本時間12日)=四竈衛、大塚仁】松坂らが所属するレッドソックスが、中日からFA宣言した川上憲伸投手(33)の移籍先本命に急浮上した。同地でのウインターミーティングが終了。レ軍は川上に対し、先発陣の一角として3年総額2100万ドル(約18億9000万円)の好条件を用意していることが分かった。代理人ダン・エバンス氏(48)はメジャー28球団と交渉し「あとは川上次第」と話したが、他球団を寄せ付けない条件。初の1球団4人目となる日本人プレーヤーが誕生する可能性が高くなってきた。

 大本命として浮上したのはレッドソックスだった。FA市場解禁後、表面的には目立った動きを見せていなかったが、水面下では着々と川上獲得策を進めていた。レ軍関係者によると、3年契約で総額2100万ドルの条件を用意。例年になく遅い流れの市場をよそに、年内にも決着をつけることで、フロント首脳の方針が固まった。

 今季、リーグ優勝決定シリーズで敗れたレ軍にとって、計算できる先発投手は覇権奪回のキーポイントだった。現在、ベケット、松坂、レスターの3本柱が確立している一方で、ウェークフィールドは42歳の高齢で年間を通しての安定感はなくなってきた。昨年、無安打無得点を達成した若手バックホルツにしても、技術的に伸び悩んでおり、ローテを任される存在ではない。そこで目を付けたのが、数年来、視察を続けてきた川上だった。エプスタインGMは「もちろん名前は知っているが、FAの選手はだれでも興味を持っている」と具体的なコメントを避けた。だが、田沢獲得時と同様に、これも敏腕GMの決まり文句。実際には編成トップとして、すでに「GOサイン」を出し終えていた。

 川上にとっても、レ軍は多くの希望条件を満たす数少ない球団。先発ローテの枠だけでなく、過去5年で2回の世界一と、「優勝できる可能性のある球団」としてメジャーでトップクラスであることは言うまでもない。さらにトレーナー、通訳、広報に日本人スタッフを持っており、川上が入団すれば専属通訳を採用する予定。松坂、同年齢の岡島と相談相手がいるのも心強い。

 ウインターミーティング最終日までに、28球団と交渉した代理人エバンス氏も、明るい表情で現状を説明した。各球団との第1次折衝は終了。具体的な球団名や内容こそ伏せたものの、「とても建設的で前向きな話し合いができた。今後、数週間でさらに情報を集めたい。あとは川上に話を伝えてから」と、手応えがあったことを明かした。

 オリオールズなど複数球団が獲得意思を見せているが、レ軍以上の好条件を提示するのは難しい。FA選手でもあり、最終的には川上の決断次第だが、レ軍は間違いなく大本命。入団となれば、松坂、川上、岡島だけでなく、将来的には田沢も含めた初の1球団日本人4人が投手陣を支える可能性が出てきた。