ゴジラがイチローに学ぶ。エンゼルス松井秀喜外野手(35)が4日、母校の石川・星稜高を訪問した。恩師である同校の山下智茂総監督(64)から、恒例となっている本のプレゼントがあったが、その中にはマリナーズ・イチロー外野手(36)のトレーナーとして成功を見てきた森本貴義氏の著書も含まれていた。今季から同じア・リーグ西地区のライバルとなる選手ながら、コンディショニング面で参考になる部分は多い。思わぬ「共闘」指令に、松井はどう応えるか。

 松井とイチロー。両雄並び立たずとはよく言うが、星稜・山下総監督はそうは思わないという。雪の積もった金沢。室内練習場に設置されたストーブの炎で暖を取りながら、同総監督は「松井レベルの選手でも、まだまだイチローから学ぶところはあると思う」と話しはじめた。

 持ち前の長打でワールドシリーズMVPを獲得したゴジラと、前人未到の9年連続200安打を成し遂げたイチローでは、プレースタイルが違う。性格や、メディアにおける発言等を見ても対照的な2人だ。だが今季は直接対決19試合を予定しており、山下総監督は少しでも多くを学んで欲しいと思っている。

 同総監督は「2人ともスタイルが違うから。技術的にというより、コンディショニングとか精神面で、イチローを参考にしてほしい。だから僕はアレを贈ったんです」とニヤリ。アレとはマリナーズ、WBC日本代表のトレーナーとしてイチローをつぶさに見てきた森本氏の著書「一流の思考法」だった。

 山下総監督は「イチロー本」を2冊贈ったが、特に森本氏の著書からは、イチローが実際に行っているトレーニング・習慣の中からパフォーマンスを最大限に発揮する方法が学べるという。この日、松井は星稜高室内練習場で報道陣に囲まれ「もともとひざの状態はそれほど悪い状態ではない。無理しないで(状態を)上げていきたい」と説明したが、山下総監督によれば、コンディショニングへの取り組み方でも同書は参考になるという。

 06年の球宴ではヤンキースの主砲ロドリゲスがイチローのウオームアップを参考にするため「弟子入り」。試合前のアップをともに行った。山下総監督は「松井が直接行っても教えてくれんかもしれんから(笑い)本を読んでほしい」。松井がイチ流を取り入れ、さらに大きく羽ばたくことを期待していた。【千葉修宏】