エンゼルス松井秀喜外野手(35)が、新天地でもマイペースを貫く意向を示した。5日、故郷石川から東京の自宅へ帰京したが、移動の小松空港の搭乗ゲートには飛行機の離陸10分前に登場。エ軍移籍初年度となる今年も悠然と構える「ゴジラタイム」は健在で、キャンプインまでは例年通りに調整。「何も変えようとは思っていない」と今季の活躍に自信を見せた。

 時間を気にする様子はなかった。松井がゆっくりと小松空港の通路を歩いてくる。待ち構えたファンからは拍手と歓声が起こった。松井は右手をさっとあげ声援に応えると、搭乗ゲートの中へ。この時、時刻は午後1時25分。飛行機の離陸のわずか10分前だった。それでも焦らない、走らない。ヤンキース時代も、遅刻したってあわてなかった。これが「ゴジラタイム」だ。

 周囲に惑わされず、あくまでマイペース。これは野球でも同じだ。今季から所属するエンゼルスは、過去6年で5度の地区優勝を誇る強豪。とはいえ、打線を比較すればヤンキースには見劣りする。成績でエ軍がヤ軍に勝っているのは打率(2割8分5厘)と盗塁(148個)だけ。ヤ軍は本塁打(244本)打点(881点)得点(915点)出塁率(3割6分2厘)長打率(4割7分8厘)とほとんどの項目でエ軍を引き離している。

 今季のエ軍打線の中で、松井にかかる重圧は相当なものだ。勝てなければ、批判の矛先が松井に向かうのは明らか。それでも松井は「それは周囲の見方であって、僕はそうは思っていない。何も変えようとは思ってないし、自分の打撃をして勝利に貢献できればいいね」とサラリ言った。

 新天地でも調整は例年通りに行う意向だ。「キャンプインしてから本格的にスイングできればいい」と話す。ワールドシリーズMVPが示すように、昨年後半の成績は納得のいくものだった。だからバットの形状も、打撃フォームも変えるつもりはないという。マイペースは揺るぎない自信の表れ。年始早々の「ゴジラタイム」は今季の活躍を予感させるものだった。【千葉修宏】