メジャーのスーパースターが、佑ちゃんのとりこになっていた!?

 マリナーズのイチロー外野手(37)が5日、神戸市のスカイマークスタジアムで自主トレを公開した。日本ハムのドラフト1位・斎藤佑樹投手(22=早大)について「なかなかあの雰囲気は出ない」「うれしいよね、ああいう野球選手が出てくると」と話すなど注目ルーキーに興味津々。夢の中では160キロ近い球を投げる斎藤と対戦したと明かすなど、思いは募っている様子だった。

 史上初の10年連続200安打を達成したメジャー随一の打者が、1人の大学生投手に魅了されていた。約2時間の練習を終えたイチローが、斎藤について、よどみなく言葉をつないだ。

 「いいですねえ。なかなかあの雰囲気は出ないでしょ。僕なんて何言っても嫌みに聞こえるけど、何言ってもそう聞こえないのは、すごいよね。そういう意味で、真逆、対極のイメージが僕にはありますけどね。でもだから、その一番対極にある関係というのは、どこかで通じるものがある、というのも感じますけどね」。

 対戦したい気持ちはあるかと聞かれると「ありますね。夢に出てきたことがありますから」。

 夢の中で打席に立ったイチローは、縦に割れて細くなったバットを手にして斎藤と対戦していたという。夢は、人間のさまざまな深層心理が表れるともいわれるが、「この心理はいったい何なのかなと。打てるわけないよね。(斎藤は)160キロ近い球を投げているし」。昨年か一昨年のシーズン中には、そんな夢を見ていたと明かした。

 斎藤の投球は「高校(早実)のときから見てました」。06年夏の甲子園大会決勝で、駒大苫小牧・田中将大(現楽天)と投げ合い、延長引き分け再試合を制して全国制覇した右腕の立ち居振る舞いにほれ込んだ。「(他の選手と)全然違っていた。普通は投げる球はどんなだろうとかが気になるんですが、(斎藤は)ああいう人間がどうやったら出来るのかと、そこに興味を持った」。プロ入り前から大きな期待を背負うさまは、イチローが海を渡った当時の状況と似ている。「そんなことでおかしくなるようなタマじゃないでしょ、あれは」。まだ会ったことはないという22歳を褒めちぎった。

 練習は約2時間。174スイングのフリー打撃では力強い打球を連発した。左方向への柵越えが目立ったが「遊びですよ。風が良かったし」と余裕の笑み。それよりも、斎藤への興味は尽きない。「うれしいよね、ああいう選手が出てくると。アスリートというくくりでもなかなかいないでしょうね。いずれ会う機会はあるでしょう」。マネジメント事務所は同じ「バウ企画」(本社大阪市)だが、いずれ会う機会とは、打者と投手としての対戦か?

 米球界に大きな衝撃を与え続けている37歳が、斎藤という存在に胸をときめかせているのは間違いない。