希代のスラッガーが「汚点」を残す前に自ら幕を引いた。大リーグは8日(日本時間9日)、歴代14位の555本塁打を記録するレイズのマニー・ラミレス外野手(38)の現役引退を発表した。わずか5試合で電撃引退の真相は、メジャーで前例のない2度目の薬物規定違反だった。

 キャンプ中の検査で禁止薬物に陽性反応を示していた。8日のFOX電子版によれば、ホルモン分泌に影響して筋肉増強剤の効果を持つ「HCG」が検出されたという。ラミレスはドジャース時代09年に同違反で50試合の出場停止処分を受けており、2度目は100試合と重い。大リーグも実力者が認定1号となる事態を憂慮。この日、「本人に通知した。将来復帰を目指すなら、薬物規定プログラムに従ってもらうが、現役選手で引退したいと申し出た」との声明を出したように、水面下で「引退勧告」していた。

 ラミレスは首位打者、本塁打王、打点王をそれぞれ1回獲得し、通算1831打点は歴代18位。生涯賃金は2億ドル(約170億円)を超える。ただ奇行や問題発言など、お騒がせ男としても有名だった。前日は「個人の事情」を理由に試合を欠場していたが、真相を知らなかったレイズは立つ瀬がない。「コミッショナー事務局から引退を知らされた。驚きと失望を禁じ得ない」と名選手の引退には似合わない、怒気を含んだ声明を発表した。