<マリナーズ0-2アスレチックス>◇28日(日本時間29日)◇セーフコフィールド

 【シアトル(米ワシントン州)=広重竜太郎】アスレチックス松井秀喜外野手(37)がオフにニューヨークでメルビン監督との“残留交渉”に臨むことが分かった。今季最終戦のマリナーズ戦前に松井は同監督に呼ばれ、監督室で約10分間、会談。1年間の労をねぎらわれ、オフに会食する約束を交わした。同監督はその場で、指揮官の立場から来季残留を要請するとみられる。正式な交渉ではないが、残留交渉の幕開けとなる。

 試合開始約1時間前、スタメンから外れていた松井はメルビン監督に監督室に呼ばれた。最終戦で、この日の起用方針について話す必要はない。同監督のチーム最年長選手に対する心配りだった。松井は「監督から『1年間よくやってくれた』と言われた。オフにニューヨークのすし屋で会う約束もしている」と、ねぎらいの言葉と会食の約束を交わしたことを明かした。

 ともに自宅のある摩天楼での会食は、たんなる交流に終わらない。メルビン監督は試合前の会話について「彼はチームのために尽くし、私の監督人生の中で最も使いやすい選手だった。彼のすべての仕事に対して御礼を言いたかった」と話し、去就について「今日は話していないが、ニューヨークで食事の約束をしたから、そこで話したい」と、包み隠さなかった。

 ア軍のビーンGMや、松井の代理人テレム氏が同席する正式な交渉の可能性は低い。だが、すしをつまみながら残留交渉の幕開けとなる。今季は2割5分1厘、12本塁打、72打点とメジャーでは故障した06、08年以外では過去最低。今季年俸425万ドル(約3億4000万円)からの減額は必至で、地元紙は200万ドル(約1億6000万円)と予想する。松井に金額への大きなこだわりはないが、メルビン監督を通しア軍の誠意を感じ取れる絶好の機会になる。

 松井の最終戦は6回から代打で出場し、2打数無安打。今季成績を「ちょっと恥ずかしい。今まで自分が残した成績と比較すると、だいぶ低いですから」と恥じた。逆襲の12年。その働き場所をニューヨークで見極める。