レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が、日本球界の威信をかけて世界NO・1の称号を奪うことを宣言した。24日、札幌ドームに1万811人が詰めかけた一般公開の退団会見を開催。挑戦の動機の1つに、日本人選手の米での低評価と、日本球界でのモチベーションの低下があったことを吐露。本音で明かした発奮材料を胸に、新たなステージで頂点を目指すことを誓った。

 謙虚さも遠慮も封印した。ダルビッシュが赤裸々な言葉の数々で、日本球界に一区切りをつけた。約30分間の退団会見。苦言ともとられかねない、本音をオブラートに包むことなく淡々と明かした。レ軍の入団会見ではかたくなに説明を拒んだ、ポスティング移籍までの経緯、心の揺れがあった。「まだ球団に言っていないこともありますが、ここでしっかり言いたいことを言おうと思います」と切り出していった。

 ダルビッシュ

 一番の要因は、僕は野球選手であって、相手の打者を倒したいという強い気持ちで向かっていくのが好きで、それが仕事だと思っている。相手の選手から、う~ん、なんていうのかな…。試合前から「このカード投げないでよ」とか「もう無理だよ」とか「打てない」とか、そういう言葉を冗談でも聞いていて、なんかフェアな対戦をしていないんじゃないかなという思いがあった。求められているのは違う環境、メジャーなのかなと思った。僕はすごい、勝負がしたかった。

 近年の投球は徐行運転のようなシーンも目立った。例えば打者がよけきれず負傷を連発したツーシームを控えるような組み立てなど。自身のレベルアップに反比例して士気は下がったのだろう。「昔はメジャーに行きたいとは思わなかった。行くくらいなら野球をやめようとも言いました。その気持ちは今でもあまり変わっていない」。日本の頂点に向かっていけばいくほど、力勝負の米球界が近づいていった。

 厳しい現実も目の当たりにした。一目置く先輩たちが、米球団相手に交渉決裂し、夢破れてきた。今回の移籍劇に至る、もう1つの伏線だった。

 ダルビッシュ

 日本人選手の評価が低くなったことについて日本の野球が下に見られているのも嫌だったという思いもあります。そういうの(気持ち)が(時期と)重なったのもある。

 日本を代表して底力を見せる使命感も、推進力になった。

 今後は国内などで自主トレを行い、バッテリー集合日の2月23日、再出発を切る。「世界中の投手の中で誰もがNO・1はダルビッシュだと言ってもらえるようになりたい」。愛着ある日本球界へ、誤解を恐れず“遺言”も残した。ダルビッシュは本望ではなく、運命に導かれるように開けた道を突き進んでいく。【高山通史】