06年WBCでの「疑惑の判定」で知られるボブ・デービッドソン氏(59)が18日(日本時間19日)、大リーグ機構から審判員では珍しい1試合の出場停止処分を科せられた。理由は「コミッショナー規定が求める状況判断にそぐわない度重なる違反行為」。つまり技量不足で、青木が出場したブルワーズ-ツインズ戦の審判団から外された。

 契機は15日のフィリーズ-アストロズ戦。球審だった同氏は立ち位置が悪く、ア軍打者の振り逃げを「誘発」。ベンチで不満そうに独り言を吐いたフ軍マニエル監督を退場処分にした。ぶち切れてベンチを飛びだした同監督と、40秒以上にわたってののしり合った。

 デービッドソン氏は第1回WBCで米国のアピールで日本の勝ち越し犠飛を覆す「誤審」騒動を起こした。米球界でも評価が低く、今年は専門誌が選手を対象にした審判投票でワースト4位。ボーク乱発で有名で、感情の起伏も激しく監督らと衝突を繰り返す。審判員には過去、暴言や思想的発言が問題視され出場停止が科せられたことはあっても、技術をとがめられるのは前代未聞。米メディアはこぞって「象徴的な存在にメスを入れたという意味で画期的」(ワシントン・ポスト紙)と大リーグ機構の裁定を支持。年齢的にも「ボークのボブ」は窮地に立たされた。