ヤンキースをFAとなっているイチロー外野手(39)がヤ軍と1年契約でほぼ合意に達したことが26日、球団関係者の話で明らかになった。年俸は500万ドル(約4億円)プラス出来高が基本線とみられる。今季1800万ドル(約14億4000万円)からの大幅減は確実だが、金銭では代えられない価値をヤンキースに見いだし、残留を決断。早ければ、今週中にも発表される見込みだ。

 新天地で活躍し、今オフのFA外野手市場で注目を集めていたイチローの“ヤンキース愛”は深かった。関係者によると、条件提示は1年500万ドル(約4億円)程度、プラス出来高とみられる。今季年俸は1800万ドル(約14億4000万円)だった。

 代理人のアタナシオ氏は「多くの球団に興味を持ってもらっている」と話していた。来シーズンは39歳で迎えるが、実績を考えれば、複数年を含めた、より好条件のオファーが他球団からあったとしても不思議ではない。

 格安条件を受け入れても、残留したいと思わせる魅力があった。在籍はわずか3カ月弱と短期間でも「アメリカに来て、理想としていたものがここにある」とチームへの思いを口にしていた。今年7月までマリナーズでは打率2割6分1厘だったが、移籍後は3割2分2厘。ポストシーズンでも活躍し、移籍前後でモチベーションの違いは明らかだった。

 シーズン終盤に結果を残したとはいえ、来季レギュラーが保証された立場とは限らない。本職でない左翼、中堅の守備を任されたように、選手層が厚いヤンキースでは、初参加となる来春キャンプの持つ意味が大きい。ちょうど同時期に、WBCがある。日本代表の中心選手として2連覇へと導き、今回も出場オファーを受けたが辞退した。もう1つの“世界一”である悲願のワールドシリーズ(WS)制覇へ、キャンプで万全の準備を整える。

 今年は地区優勝シリーズでタイガースに4連敗し、WS前に涙をのんだ。悔しさと同時に感じた、名門球団ゆえのやりがい。同じように、FAだった黒田も他球団の大型オファーを蹴って“おとこ気”残留を決めたばかりだ。条件よりも大事なものを優先させたベテランコンビが、来季もピンストライプに身を包み、夢の続きを追いかける。