【オークランド(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=佐藤直子通信員】西武から海外フリーエージェント権を行使した中島裕之内野手(30)がアスレチックスと2年650万ドル(約5億2000万円)で契約を結び、本拠地オークランドコロシアムでお披露目会見を開いた。ガエゴ三塁コーチから譲り受け、西武時代と同じ背番号「3」をキープ。深緑色のキャップをかぶり、真っ白なユニホームの袖を通した喜色満面の中島は、早くもキャラ全開で地元記者の心をつかんだ。

 海を越えても、中島の明るさは変わらなかった。地元ケーブル局とMLB公式サイトで生中継された会見は「ハーイ!

 オークランド!」と朗らかに始まり、前夜考え、夢の中で練習したという英語のスピーチを披露。場の雰囲気をつかんだのは、ア軍を選んだ最大の理由を聞かれた時だった。

 中島

 ビリー・ビーンがカッコイイから(笑い)。

 通訳が「Billy

 Beane

 is

 extremely

 sexy

 and

 cool」と訳すと、会見場は大爆笑に包まれた。隣にいたビーンGMも、普段はクールに決めている端正な顔を真っ赤にして大笑いし、「このチームはSexy&Coolがすべて。ヒロにもそこを目指してほしい」とノリノリ。「プレースタイルはもちろん、彼の人柄にほれたんだ。チームでも人気者になるはずだ」と太鼓判を押した。

 メジャー移籍で最大の課題を聞かれると、ひょうひょうとした表情で「お風呂があまりないことです」。英語の習得については「みなさん、教えてくれますか?」と逆質問。地元紙サンフランシスコ・クロニクルのスーザン・スラッサー記者は「こんなに面白い会見初めてよ!」と、すっかり心奪われた様子だった。

 だが、面白いだけでは終わらない。日本人内野手の低迷が続く中で結んだ2年650万ドルという好条件。「プレーして感じてみないと分からない。でも、やる自信だけはあります」と、期待に恥じないプレーを見せる覚悟はある。

 昨年ポスティングシステムを利用してのヤンキース入りを断念し、ようやくこの日にたどり着いた。

 中島

 いろいろな経験をした。今、こうやってアスレチックスのユニホームを着られていることが、すごくうれしいです。

 戦いの場をメジャーに移しても、笑顔あふれる中島らしさを失わずに、「Sexy&Cool」でファンの心をつかみたい。

 ◆ビリー・ビーン

 1962年3月29日、米国生まれ。高校から80年ドラフト1位でメッツ入団。外野手。89年アスレチックスで引退。90年からア軍スカウト、97年オフにGM。年俸総額を抑えながらプレーオフ常連に押し上げた手腕が話題に。同GMを描いた映画「マネーボール」はブラッド・ピットが主演。