<レンジャーズ7-4エンゼルス>◇28日(日本時間29日)◇レンジャーズボールパーク

 残るア・リーグのワイルドカード(WC)2枠の行方が、レギュラーシーズン最終戦までもつれ込んだ。レンジャーズが6連勝を飾り、2位レイズが敗れたため、同率で並んだレンジャーズに自力プレーオフ進出の可能性が復活。WC1位のインディアンスから3チームが1ゲーム差にひしめき、今日29日の最終162試合目の結果次第では、7通りのシナリオが生まれる大混戦の展開になった。

 4年連続のプレーオフ進出を狙うレンジャーズの命運は、ダルビッシュ有投手(27)に託された。この日、当初ナイターの予定だったエンゼルス戦は悪天候の予報により、午前11時に変更して開始。2回までに5点を奪い、土砂降りの雨の中で迎えた9回を守護神ネーサンが43セーブ目で締めると、ダルビッシュもベンチから飛び出して勝利を喜んだ。

 負けられない崖っぷちから6連勝を飾った。ワシントン監督も「選手たちが気概を見せてくれた」と目を真っ赤にした。レイズが敗れたことで、自力進出の可能性が復活。162試合目となる公式戦最後の先発マウンドには、今季エースとして支え続けたダルビッシュが、満を持して上がる。ワシントン監督は「とても自信がある。われわれは彼を信頼している」と勝利を信じて疑わなかった。

 ダルビッシュは最終戦を前に、「特別視はしない」と平常心を強調したが、昨季の悔しさは忘れていない。最大6・5ゲームのリードから失速し、最終162試合目でアスレチックスに逆転優勝をさらわれた。新設された1試合制のWCゲームに回り、その試合で先発したダルビッシュが負け投手になり、まさかの終戦に泣いた。エンゼルス戦は今季3勝無敗と相性が良く、必勝しか許されない。

 WCが2枠に増えてまだ2年目だが、3チームが同率となれば、史上初めて1ゲームプレーオフが変則方式の逆トーナメントで行われる。レンジャーズは本拠地で戦えるアドバンテージを握る。「われわれがやるべきことは変わらない。明日球場に来て、勝つことだ」とネーサン。歴史に残る大混戦の行方は、まだ波乱含みだ。(アーリントン=佐藤直子通信員)

 ◆1ゲームプレーオフ

 公式戦を終えて同率で並び、プレーオフ進出チームが決まらなかった場合、「タイブレーカー」と呼ばれる方式で決定戦を行う。過去12度あり、うち4度は2戦先勝制、8度は1試合制。3チームが同率で並んだケースはなく、実現すれば史上初。07年はロッキーズ松井稼頭央(現楽天)がパドレスとの決定戦を制し、勢いのままワールドシリーズにも進出。登板しなかったものの、99年のメッツ吉井も、レッズに勝ってプレーオフに進んだ。この試合の個人成績もシーズン記録にカウントされる。

 ◆ワイルドカード

 地区優勝球団を除く、勝率上位がプレーオフに進む制度。大リーグでは95年に導入され、11年まで同枠は両リーグとも1チームだけだったが、昨季から2チームに拡大。両軍が1試合制によるワイルドカードゲーム(WCG)を戦い、勝者が地区シリーズ(5回戦制)に進出できる。昨季は両リーグともにWC2位が勝ち上がり、カージナルスはリーグ優勝決定シリーズまで進出。同制度から勝ち上がって、過去に延べ4チームがワールドシリーズを制した。