<レンジャーズ5-0ツインズ>◇28日(日本時間29日)◇グローブライフパーク

 「その場しのぎ」のフォームでも勝利につなげる。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)がツインズ打線を8回4安打無失点に抑え、8勝目を挙げた。これで今季は8回以上を投げて無失点に抑えた試合はメジャー最多の5を数える安定感。苦心の投球ながらツ軍の左打線から10三振を奪い、2桁奪三振は25試合目となり、ノーラン・ライアン氏(67)に次ぐ球団史上単独2位に浮上した。

 ダルビッシュは左打者7人を並べたツ軍打線を寄せ付けなかった。この日の軸球はカットボール。90マイル(約145キロ)前後の通常版に加え、よりスライダーに近い85マイル(約137キロ)の2種類で攻めた。試合前、ツ軍ガーデンハイアー監督は「できるだけ左打者を並べた」と対策を明かしたが、策は裏目に出た。ダルビッシュは2回、パームリーに中前打を許したのを最後に、5回に1四球を挟んだだけで、7回に再びパームリーに右前打されるまで17人連続でノーヒット。「カットがあれだけコントロールも変化も良ければ、左打者には難しいかなと思います」と勝因に挙げた。

 快投でチームに2連勝をもたらし、自身の連敗も止めた。ワシントン監督は「ユウ・ダルビッシュ本来の姿に戻ったな」と笑みを浮かべたが、本人は試合後の会見で「その場しのぎのフォームでよく投げられたと思う」とスッキリしなかった舞台裏を明かした。基本的に数種類あるフォームの中から、その時の体調などに合わせて選択するが、この日はどれにも当てはまらず。緊急時に備えた「バックアップ」用で、「カットを投げるのは簡単」というフォームを思い起こし、結果的にハマった。

 8回無失点には「良かったです。これで悲しいです、とかないでしょ」と淡々。直前2試合では、その場しのぎのフォームも通用せず計12失点しており、一時期のスランプを脱しても、納得していなかった。それでも最近9試合で5度目の2桁奪三振。「長いイニングを健康な状態で投げることができたことが良かった」。少しの妥協も許さず、投手道を探究していく。【佐藤直子通信員】<ダルビッシュ記録アラカルト>

 ◆レ軍史上2位

 この日の10奪三振で2桁奪三振は通算25度目。レンジャーズでは、メジャー歴代最多の通算5714奪三振を記録するノーラン・ライアンの34度に次ぐ単独2位に浮上。

 ◆メジャー史上2位

 デビューから3シーズンでの2桁奪三振も、ドワイト・グッデン(元メッツ)の31試合に次いで2位。

 ◆13球団から勝利

 ツインズに勝ったことで、ア・リーグ13球団目の勝利。残すはオリオールズだけとなった。