【フェニックス(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=四竈衛】レッドソックスが、オリックスからFA(フリーエージェント)宣言した金子千尋投手(31)が球団からポスティングシステム行使を容認された場合、本気モードで獲得に乗り出すことが分かった。シーズン中は計5人のスカウトが来日し、視察を済ませるなど本気度はメジャートップ。MLBオールスターを率いるジョン・ファレル監督(52)が、先発予定の第2戦(14日)で直接チェックできることもあり、容認されれば一気に動きそうな気配だ。

 GM会議に出席中の複数の米球界関係者によると、金子の動向に最も熱心なのはレッドソックスだった。開幕以来、メジャー各球団スカウトの中では、今オフのメジャー移籍が有力視されていた広島前田が、注目の的だった。ところが、レ軍だけは早い時期から金子の登板日は、ほぼ全試合を視察。エディー・ロメロ国際スカウト部長をはじめ、計5人の関係者がそれぞれ複数回来日してチェックを繰り返していた。

 実際、今オフのレ軍は先発投手陣の補強が最大の課題とされている。世界一からア・リーグ東地区最下位に低迷した今季は、シーズン中にレスター、ラッキー、ピービの3人をトレードで放出。現時点では、バックホルツ、ケリーの2人しか確定していない。若手の台頭に期待するとしても、最低でも2人は補強する方針を固めている。元来、資金力は潤沢で、しかも高年俸選手を放出したこともあり、金銭面に支障はない。入札当時20代だった松坂、ダルビッシュ、田中らと違い、金子は31歳という年齢もあり、ある米球界関係者は「(譲渡金)7億~10億円、年俸は3年18億円」と予想する。だが、レ軍が本気となれば、さらに高額の条件を用意することも難しくないとみられる。

 ポスティングシステムを行使した場合、レ軍のほか、レンジャーズ、カブス、ダイヤモンドバックスの参戦が濃厚とみられる。14日の日米野球第2戦でファレル監督の前で金子が好投すれば、「GOサイン」に拍車がかかることは確実。日本での「ラスト登板」となる可能性のあるマウンドは、金子にとっても重要な意味を持つことになりそうだ。