中日の新外国人ラウル・バルデス投手(37=ブルージェイズ3A)が開幕ローテ入りを内定させた。ナゴヤドームの今季初戦で、勢いづくロッテ打線を5回2安打無失点に封じた。抜群の制球力でオープン戦2試合で計8回無失点。谷繁兼任監督もローテ入りへ合格点をつけた。俳優松平健が歌う新球団歌が発表された日。頼もしい「暴れん坊」左腕が先発スタッフに加わる。

 まるで別の試合だ。背番号44がマウンドにいる間、マツケンも驚く快調なテンポで試合が進んだ。先発リーバスが乱調で、2回までに1時間を要した大荒れの試合。だが3回から3番手で登板したベテラン左腕が見事に立て直した。

 2番からの上位を4人で抑えると、続く4回は満塁弾を打っていた大松からの3人を8球で料理。6回、7回も3人ずつで退けて「0」を5つ並べた。最速は139キロ。平均は130キロ中盤だったが、配球のほとんどが直球。制球力への自信がうかがえた。スライダー、チェンジアップも同様にコーナーぎりぎりをなめるように配した。

 活気づくロッテ打線を別チームのように静まらせた。集まった2万人超のファンも今年初のナゴヤドームで救われた気分だっただろう。降板時には場内からビバ! オ~レ~! と言わんばかりの拍手が鳴った。

 「初回は少し制球が悪かったけど、うまく立て直せた。四球を出さないように心がけた。基本的に投手は制球がよくないと苦しむからね。いいアピールができたと思う」

 本来は4イニングの予定だったが、試合前に首脳陣から「5回でも行けるか」と聞かれ即答していた。真面目な性格で、日本野球への順応も問題なさそうだ。谷繁兼任監督は「キャンプから試合を作れるタイプの投手と見ていた。いい投球を見せてくれた。今日を見る限り、十分やっていける」と早くもローテ入りに及第点。森ヘッドコーチも「開幕に入ってくれそう。入ってもらいたい投手」と期待度の高さを示した。

 開幕ローテは今日1日のロッテ戦に登板する山井、吉見、大野の3人が内定。その他を10人程度で争う構図だったが、バルデスが加わるのは間違いなさそう。試合を作れる左腕が入れば、相手に合わせて多彩な組み合わせも可能になる。

 「マウンドは投げやすかったし、日本の捕手は投げやすいリードをしてくれる。手応えはあるけど、前回と今日で納得していてはダメ。これからも一生懸命練習して、試合でいい結果を出してアピールしていく」とバルデス。課題とされていた先発投手陣に光が差した。【柏原誠】

 ◆ラウル・バルデス 1977年11月27日、キューバ生まれ。ドミニカ共和国に亡命後、04年にカブスと契約。10年にメッツでメジャーデビュー。昨季はアストロズで8試合登板。シーズン中にブルージェイズに譲渡された。メジャー通算103試合、7勝7敗2セーブ、防御率5・13。180センチ、95キロ。左投げ左打ち。