DeNAドラフト3位の倉本寿彦内野手(24=日本新薬)が球団史上44年ぶりとなる「新人開幕遊撃手スタメン」を視界に捉えた。宜野湾キャンプ最終日の練習試合に「6番・遊撃」で先発フル出場。4打数2安打2打点の猛アピールに成功し、中畑監督をして「何か持っている」と言わしめる存在感を発揮し、プロ初キャンプを締めくくった。

 まずはセ界のエースに立ち向かった。2回2死、広島先発前田に2ストライクと追い込まれながら、高めの直球を右前にはじき返した。「(前田が)どれくらいの力加減か分かりませんが、1本打てたことで気持ちが楽になった」と、3回まで登板した相手エースからチーム唯一の安打をマークしてみせた。さらに、2点を追う9回には2死二、三塁の最大の見せ場が到来。岩見の失投を逃さず、積極的なスイングで右翼線を破る同点2点適時打を放ち、文句なしの結果を示した。

 入団直後から公言する「開幕スタメン」を目指し、キャンプ中は連日の居残り特守&特打を敢行して突き進んできた。そんな倉本へのご褒美なのか、最終日のこの日は、かつてベイスターズの「背番号5」を背負い続けた広島石井内野守備走塁コーチからのサプライズエールを受けた。試合前に声をかけられ「『野球をやめるまで5番を背負い続けてくれ』と言っていただいた。本当に憧れていたので鳥肌が立ちました」と初対面の興奮を力に変えて、好アピールにつなげた。

 約1カ月後に最終判断を下す中畑監督も手応えを強調した。今キャンプは対外試合9戦で28打数10安打5打点、打率3割5分7厘のルーキーに対し「キャンプで一番目立っていた。戦力として期待できる。マエケンの内容の良さが出たけど、倉本が1本打ってくれたのが良かった」と最上級の賛辞を並べた。約半世紀ぶりの快挙へ、持ってる男、倉本が着々と歩を進めている。【為田聡史】