ガンガン岩石バトルがサドンデスに突入した。先発6番手を争う阪神岩崎優投手(23)が広島戦に先発し、5回を1失点にまとめた。左肩の不安から2軍調整を続けてきた左腕が、今年初の1軍マウンドで安定感をアピール。2番手の岩貞祐太投手(23)は3回無失点。前日10日同戦で4回無失点と好投したドラフト2位石崎も含めた「第6の男」争いは、候補者のガン張りでうれしい悲鳴の延長戦だ。

 岩崎は出遅れても照準は定めてきた。1回2死から四球と連打で先制点は許したが、最少失点に抑えた。そう簡単には崩れない。小雪が舞う中、マウンドでかじかむ手に息を吹きかけながら5回を投げきった。

 「開幕を見据えて状態を上げていくことを考えていた。いい意味で今日に関しては岩貞らが好投を続けていることを意識しました」

 調整遅れのため、これまでは2軍で準備。ライバルとなる岩本、石崎、岩貞が好投を続けるニュースを耳にしていた。しかし、焦ることなく自分と向かい合ってきた。新たに取り入れたのは、遅いチェンジアップ。昨年も投げていたチェンジアップとは約10キロの球速差がある。1軍のマウンドで初披露。2回先頭の堂林を追い込み、107キロの新型チェンジアップで空振り三振に仕留めた。

 春の2軍高知・安芸キャンプ、キャッチボール中に感覚をつかんだ。キャンプ後半から本格的にブルペンで精度を上げた。5勝した昨季からの上積みに新たな武器を備えてきた。

 岩崎も持ち味を発揮して譲らず、開幕ローテーション決定は持ち越しとなった。和田監督は「今日の投球だけではちょっと…。出遅れている分、まだ投げ足りない。そういうところがあるから」と分析。中西投手コーチも「開幕まで2週間ある。次は2人とも100球ぐらいを投げてもらう」と話した。次回は岩崎が1軍、岩貞が2軍で100球を目安に投げる予定。すでに岩本が抜けだし開幕5番手に当確。石崎も含め、開幕2カード目ヤクルト戦(神宮)の残り1枠をかけたバトルは延長戦でヒートアップする。

 プロ1年目の昨年も2軍戦登板を重ね、開幕5戦目を射止めた。シーズン開幕まであと2週間。崩れない男、岩崎の戦いは始まったばかりだ。【宮崎えり子】