中日が今季4度目のサヨナラ勝ちで単独首位に再浮上した。新助っ人のリカルド・ナニータ外野手(33)が9回、左中間に殊勲打。16試合を終えてルナ、エルナンデスと外国人3人がそろってサヨナラ打をマークした。チーム内で「3D」の愛称で親しまれるドミニカン・トリオに引っ張られ、セ・リーグ10勝一番乗り。ナゴヤドームは10試合で9勝と圧倒的な強さを誇る。

 試合を決めたナニータは右手を突き上げて喜びを爆発させた。駆け寄って来たルナと熱く抱擁。チームメートから氷水を浴びせられ、また笑顔になった。「本当にありがとう。チームの力が集結した勝利だよ。本当にありがとう。この瞬間のために努力してきたんだ」。日本で体験する初めてのお立ち台。興奮を隠しきれなかった。

 狙い澄まして直球を振り抜いた。同点の9回1死二塁。マウンドは阪神松田。直前に打席に入った小笠原が敬遠気味に歩かされた。「2ストライクからとにかく最短距離でバットを出そうと思った。うまくコンタクトしようと思った」。カウント2-2から高めの144キロ直球をガツン。左中間を破った。

 チームにも名古屋の町にもすっかり溶け込んだ。アナ夫人と2人の子どもが3月中旬に来日。前日13日には名古屋市内の焼き肉店に家族と出かけパワーを充電した。「もう自分で注文できるよ。少しの日本語と身ぶり手ぶりでね。昨日は少し食べすぎたね」。スペイン語の「コメンタ」(英語でトーク・ミー)が口癖で積極的にチームメートに話しかける。明るい性格で同僚からも好かれる人気者だ。

 ドミニカ共和国代表として13年WBCを制した世界一メンバーだが、メジャー経験はない。数年前からドミニカ視察を続ける森ヘッドコーチに日本でのプレーを熱望。念願の日本球界入りだった。ブルージェイズ傘下に所属していた昨季までは川崎との親交が深く「オニギリ」という日本語がお気に入り。今では昆布のおにぎりを頬張り、試合に臨むことが日課だ。

 地元テレビ局から端を発したドミニカントリオの愛称「3D」が定着しそうだ。3日広島戦でエルナンデスが延長10回にサヨナラ打を放ち、12日DeNA戦ではルナがサヨナラ打で延長12回に決着をつけた。助っ人の活躍が原動力となった本拠地の快進撃。「日本に来てそういうニックネームを付けてもらえることはうれしいね」。下馬評の低さを覆すリーグ10勝一番乗りで単独首位に返り咲いた。ドミニカンが活躍する限り、中日は勢いは衰えそうにない。【桝井聡】

 ▼中日が代打ナニータの左前打でサヨナラ勝ち。中日の2試合連続のサヨナラ勝ちは11年6月4、5日以来4年ぶり。これで3、5、12日に次ぐ月間4度目のサヨナラ勝ち。月間4度以上のサヨナラ勝ちは14年7月の西武(5度)以来で、中日では09年5月以来6度目の球団最多タイ。今季は本拠地で9勝1敗。ナゴヤドームでのチーム打率は3割1厘で、06年の2割7分5厘を超えて97年の開場以来最高ペース。

 ▼中日は12年以来のリーグ10勝一番乗り。開幕3連敗以上の10勝一番乗りは11年ヤクルト以来で、2リーグ制後6球団目。