1勝1敗で迎えた3戦勝負は、仙台大が東北大を下し、勝ち点1を獲得した。初戦に続いて中1日で先発した右腕エース熊原健人(4年=柴田)が先発全員の計13奪三振で、2戦連続2安打完封。バッテリーを組む千葉俊(3年=盛岡大付)も先制本塁打で援護した。

 仙台大の熊原が、より“進化”した姿を見せた。中1日の疲れも見せず自身初の2戦連続の完封劇。第1戦(18日)の11個を上回る奪三振ショーでリーグ通算11勝目を挙げた。熊原は「勝ち点を取れた安心感の方が強い」とエースの自覚を示した。

 第1戦は完封こそしたが制球に苦しんだ。この日は一変。ストライクを先行させ、有利なカウントから三振の山を築いた。最速は147キロをマーク。キャンプから精度を高めてきた変化球も決め球にして7回を除く毎回奪三振。2~3回は6者連続の空振り三振に切り捨てた。8回1死まで背負った走者は味方失策と与四球の2人だけ。無安打無失点の期待も抱かせた。

 三振13個の半数近くを変化球で奪った熊原は「一昨日(第1戦)は運に助けられた。今日は変化球でストライクや三振も取れて、配球で勝負できた」と納得の表情を見せた。ネット裏ではプロ3球団のスカウトも熱視線。巨人榑松スカウトは「左打者へのチェンジアップや変化球の使い方が良くなった」と進化を認めた。

 「打者に考えさせることができたら勝ちだ」。今春卒業した前エース野口亮太(22=鷺宮製作所)の助言も生かした。頭脳集団・東北大相手に持ち球を投げ分け、的を絞らせなかった。「バッターに嫌がられるピッチャーになれた。冬からやってきたことは間違っていなかった」と手ごたえを示した。

 慢心はない。雨模様のこの日、味方攻撃中は毎回ブルペンで肩と体を温め、万全の状態でマウンドに立った。「ピッチャーが0に抑えれば負けることはない。自分が崩れたらチームが崩れる」。前日チームのまさかの敗戦で回ってきた登板機会で、まずは勝ち点1。プロ注目右腕は、2年連続の神宮を目指す。【佐々木雄高】